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プロローグ1
「大江山伊吹さん、ようこそ死後の世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました」
真っ白い空間で私は唐突にそんなことを告げられた。
突然のことで何がなんだかわからない。
真っ白い空間にはなにもなく、私に私の訃報を告げてきた相手が目の前に立っているだけ。
もし神がいるというのなら目の前の彼のような存在のことを言うのだろう。
かっこいいや可愛い、美しいとは全く異なる人間離れした神々しさ。
見るものを深く吸い込みそうな印象を与える艶やかで黒色の長い髪。
年齢は私より少し上ぐらいだろうか。
引き締まった完璧な身体によく似合う大きな瓢箪を携えている。
その美男子は、髪と同色の漆黒の瞳を瞬かせ、状況が全く掴めず固まったままの私をじっと見ていた。
……私は先ほどまでの記憶を思い出す。