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新しい魔女

 正確さを欠くナビでも僅かな分岐点しかない街道など、簡単なものだった。

 運賃メーターはどんどん上がっていく。

 運賃はこの世界に合わせたつもりだが、馬車に比べたら高めに設定してある。

 それでも快適さは段違いだった。

 グレタ婆さんは揺れないのに馬車よりも圧倒的に速いのに感激していた。

 およそ1時間程度で目的地へと到着した。

 馬車なら3時間ぐらい掛かるそうだ。

 運賃は馬車の倍ぐらいになるが、これなら何度でも使いたいと言って貰えた。

 文崇はせっかく隣町に来たので、見て回ろうと思った。

 村よりも規模が大きく、中央の広場の周りには商店が建ち並ぶ。

 村よりもいろいろな物が売っていた。

 「あんた、珍しい恰好をしているね?」

 声を掛けてきたのは占い師の女だった。

 顔の下半分を薄い布で隠しているので、顔立ちの殆どは見えないが、目元だけでも綺麗な人だと解る。

 文崇は職場でキャバクラ王と呼ばれた程である。こうした美人に声を掛けられて足を止めないわけが無かった。

 「お姉さん。なんでしょう?」

 「あんた、どこから来たんだい?」

 「隣村です」 

 「いやいや。生まれって言うか、どこか遠い国の生まれだろ?」

 「なるほど。実は魔女にこの世界に連れて来られまして」 

 「あぁ、なるほど。魔法で異世界から連れて来られたのかい。かわいそうな」

 「ですよね。次に戻れるのもいつになるかわからないって」

 「だろうね。あんな魔法。簡単に使えるもんじゃない」

 「魔法に詳しいですね?」

 文崇がヘラヘラとした尋ねると、女もニコリと笑う。

 「あぁ・・・私も魔女だからね」

 「そうなんですか?」

 「あんたがここまで乗って来た車。精霊が仕込まれているね?」

 「魔女がお詫びだって」

 「面白い。私も乗ってみたいね」

 「ぜひ。料金はこんな感じです」

 文崇は手書きの料金表を見せる。

 「馬車の倍くらいか。安過ぎないか?」

 「そうですかね?でもあんまり高いと乗れるお客さんに限りがあるし」

 「まぁ、村ではね。都に行けば、もっと高い料金でもやれるさ」

 「でも・・・最初の村だし・・・あの魔女の近くに居ないといつ帰れるか解らないし」

 「そうかい。まぁ、とりあえず、あいつの所にでも久しぶりに行ってやるか」

 魔女がパチリと指を鳴らすと占いの道具が一瞬で消えた。

 「私の名前は翠の魔女、アスカトロイヤ。あんたをここに連れて来た魔女の友達さ」

 「そうなんですか」

 文崇は道具が一瞬で消えた事に驚いていた。

 「呆けてないで、タクシーに乗せな」

 アスカトロイヤは文崇にそう言うと、旅行鞄とホウキを持って、歩き出した。

 文崇がタクシーの所まで案内すると彼女は興味深げにタクシーを見ている。

 「ほぉ。精霊を完全に同化させているね。これなら壊れない」

 「そう説明されました」

 「精霊を何か封じるのは結構な術なんだぞ?」

 「へぇ・・・お詫びだとは言ってましたが」

 「あいつも悪いと思ったんだろな」

 笑いながら彼女はタクシーに乗り込んだ。

 「なかなか快適だな。この座席はお前の世界では当たり前なのか?」

 「えぇ、そうですね。高い車ならもっと乗り心地が良いですよ」

 「なるほどな。だが、これでもこの世界なら特別だよ」

 「それでは出発します」

 文崇はアクセルを踏み込んだ。

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