出発
ためしに僕は自分の素質を見るためにに自身の手のひらを見てみた。
騎士アルリスLV9
戦闘力98
魔力63
素早さ102
幸運256
特技片手剣、幸運値上昇、経験値獲得率上昇、不屈の闘志、女神の加護、模倣。
戦闘力が女性で医師のフランよりも低いのが我ながらショックだった。
「まあ、君はこれからだということさ。私はもうすぐ頭打ちだけどね。君は私よりももっともっとレベルがあげられると思うね。これは魔道医師としてのみたてなんで信用してもらっていよ」
そのおっきな胸の前で腕を組み、フランは言う。
彼女の言葉はどこまで信用できるかわからないが、レベルをあげて強くならないことにはあのベルゼングたちに復讐なんてできやしない。
「そうそう、ボクも帝国のやつらは憎くてしかたないからね。君の目的に共犯者になりたいんだ」
フランは言う。
たしかに百年に一度の天才と帝国魔道学院で呼ばれていた彼女が仲間になれば、僕の目的であるベルゼングら門閥貴族らに復讐することにおおいに助けとなる。
これは断る理由はない。
「よろしくお願いします、フラン博士」
僕は言った。
「うん、これからよろしくね」
フランは言い、僕たちは握手した。
フランケンシュタイン博士が考えるに帝国に復讐するにはまずそれなりの力をためなくてはいけない。
力とは金であり、人であるとフランは言う。
僕もその意見には賛成だ。
その力をためるにはこのツルガの漁村では無理だ。
ツルガの村の人々はいい人ばかりだが、それだけでは駄目なのである。
ここはやはりリズモニア王国の首都であるエルドバルに向かわなければいけないのだ。
王都エルドバルはこのツガルの村から直線だとギンレイ山脈をこえなければいけない。
しかしその道はかなり険しいので普通は南の街道に迂回して進むのだとフランは説明した。
たしかに窓から見える白い山頂をかかえる山々をこえるのは今の僕たちには厳しいだろう。
ここはやはりフランの言うとおり、南の迂回ルートを行くほうがいいだろう。
「さあ、それじゃあ早速旅にでよう。善は急げっていうからね」
フランは言った。
すでに旅に必要であろう保存食などはフランが用意していた。
街道を行くための馬も彼女は村人からもらっていた。
彼女が三年ほどこの村に住む人々を治療したお礼だという。
僕たちはこの馬、名前をオリオンというのだが、その名馬をありがたくもらうことにした。
フランは旅に向かうために着替えた。
さすがに裸に白衣では旅にたえられない。
彼女がその豊満な体にまとったのは魔女の闘衣という魔力がこめられた衣装であった。
まったく縫い目がないのにフランのボリュームのある肉体にぴったりとはりついている。いったいどうやって着たのだろうか。
不思議でしかたがない。
僕には長剣と革鎧を用意してくれた。
剣をぬくとキラリと光が反射する。
魔力などはこめられていないが、なかなかの切れ味がありそうだ。
これは村の長老から餞別としていただいたものだ。
名匠カシナートの弟子が鍛えたものだと長老が説明してくれた。
これもありがたくいただこう。
この旅にはなにが待ち受けてるかわからないからね。
必要な荷物をオリオンにくくりつけ、僕たちはまずは街道にむけて出発した。
村を去り際に一人の少女が見送りにきてくれた。
この子は僕を海岸で見つけてくれた漁師の娘だということだった。
「フラン先生、目的をはたしたら絶対かえってきてね」
少女はいう。
「ああ、かならず帰ってくるよ」
フランは少女にそう約束した。
僕たちは少女に別れをツガルの村をあとにした。