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「うわーっ!千草さんマジ綺麗っすね!やばいっす!」


机の上に広げられた写真を見つめながら、松尾アキラは興奮した口調で言った。


純白の花嫁姿や、お色直しのドレスなど、一つ一つをためつすがめつしては賛美の言葉を惜しまない。


久松はその様子を、苦笑しながら眺めていた。


ほとんどの人間が社員食堂やレストランに出向くせいか、昼休みの四井不動産東京本社のオフィスは閑散かんさんとしている。


まばらに散った社員たちは、めいめいに愛妻弁当やコンビニ弁当を広げて食べている。


実に牧歌的な風景だった。


「あーあ。俺も行きたかったな。千草さんの結婚式」


松尾はそう言って、じとっとした横目で久松を見つめる。


久松は両手を上げて肩をすくめると、


「仕方ないだろ。社内の人間を全員呼ぶわけにはいかないんだから。て言うかお前、千草先輩と絡みないだろ」


「ありますよ!新人研修で、ちらっとお見かけしましたもん!四井にはモデルばりに綺麗な人がいるとは聞いてたけど、まさか本当だとは思いませんでしたよ」


「お前が一方的に知ってるだけじゃん。そういうのは、絡みって言わないんだよ」


久松は目を細めて写真に視線を落とす。


ここまで絶賛されて、千草も女冥利おんなみょうりに尽きるというものだろう。


写真の一枚一枚に、カメラのファインダー越しに映された、まばゆいばかりの千草の姿が収められている。


そのどれもがキラキラと光り輝いていて、確かに女優やモデル並みの美貌を誇っている。


新婦のあまりの美しさの前に、決して悪くない容姿の新郎がかすんで見えるほどだった。


「久松先輩こそ、千草さんと絡みあったんですか?」


「あったよ。物すごく濃厚にな」


久松があっさりと放った問題発言に、松尾は瞳をきらめかせて食いついた。


「え?!何すか、もしかしてあれですか?千草さんと久松先輩って」


「人事部の先輩後輩として、いつもこってりしぼられてたよ。機嫌が悪いときは、作業用のヘルメットが飛んでくることもあったっけな」


松尾の鼻の端がひくひくと動く。


「へ……へえ、見かけによらず、激し目な人なんですね」


そうか?と久松はとぼけて目を丸くし、


「見た目どおりだと思うけどな。飲み屋四軒ハシゴしたあと豚骨ラーメン大盛りを平気で食ってたり、プロジェクトが難航したときは三日間徹夜で寝袋持って現地に泊まり込みして、そこでまた工事現場のおっちゃんと呑み比べして勝っちゃったり……まあ、そういう豪胆ごうたんな人だよ。千草先輩は」


「誰が豪胆よ。レディに向かって失礼ね」


丸めた資料で頭をたたかれ、久松は振り向いた。

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