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「私、そんなに変な顔をしてましたか?」


「赤くなったり青くなったり忙しそうだったぞ。ロボットみたいにガチガチだったしな」


葵はからかうように言って、意地悪な笑みを浮かべる。


だが舞は、それよりも別の出来事に気を取られていた。


「篠宮さん。あのとき会った女の人って」


葵は一瞬、前方から視線を外し、じっと舞を見つめた。


そして、なぜか苦々しい表情になる。


「……前に言っただろう。有能な美人はあいつの大好物なんだよ」


「久松さんの彼女ってことですか?」


それだけなら、葵はあれほど動揺することはなかったはずだ。


舞は確信していた。


その答えを欲しいとも思い、同じくらいの強さで聞きたくないとも願っていた。


「彼女――か」


葵はぽつりと呟くと、再び前方を見つめて運転に集中する。


舞は置き去りにされた淋しさを噛みしめたまま、そっと溜息をついた。








*********************************







久松の住むマンションの一角で、めぐみは今日も料理に励んでいた。


今日のメニューは、ビーフシチューにクリームコロッケ、ツナサラダとデザートは手作りプリンだった。


フリルのついたピンクのエプロンをつけて、てきぱきと材料を用意し、調理を進める。


「痛っ」


ぼんやりしていたのか、ニンジンを切るときに軽く指先を傷つけてしまった。


ぷつり、と溢れてくる血の珠を魅入られたように見つめ、恵はあのときのことを思い返していた。


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