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時は流れるごとにその速度を増してゆくというが、舞はまさにそれを実感していた。


四月に四菱地所から内定を得て、はや六ヶ月。舞は内定者懇親会に訪れていた。


場所は都内の某ホテルである。


もう選考はないと分かっていても、いまだに足が震えそうになるのは止められない。


内定誓約書を送付する際も、勘違いではないか何度も確認しなければならないほどだった。


こんな調子で、入社してからやっていけるのか不安である。


エレベーターに乗り込むと、スーツ姿の学生達で賑わっていた。


今年の新入社員は四十名程度と聞いている。


ほとんどが男子学生で、舞は居心地悪く身じろぎした。


早くも顔見知りになったのか、男子学生同士が会話している。


「なあ、知ってるか?」


「何が?」


「四井の採用担当者」


舞は思わずびくりと肩を強張らせた。


彼らと舞の間には距離があり、気づかれてはいなかったが、周りの人々が怪訝な顔でこちらを見つめてくる。


「ああ、あの人ね。確か若かったよな。いかにも仕事できますって感じの」


二人は四井の選考も受けていたらしく、共通認識を持って話を進めていく。


「そうそう、あとかなりのイケメン。ネットの就職板で話題になってた」


「うわ、怖。キモい女のストーカーとかついてたりして」


「それがなんだけどさ、」


そこで一人が声をひそめ、


「あの人、刺されたらしいぜ」


「え?!」


もう一人が大声で反応する。


舞の受けた衝撃はその比ではなかった。

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