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翌日の午後、スマホに報せがもたらされた。
「え?」
耳にした言葉が信じられず、思わず呆けたような声を出す。
スマホを取り落としそうになるのをこらえる。
夢の中に泳ぐような思いだった。
気持ちは身体から遊離し、心臓が暴発しそうに熱い。
『内々定おめでとうございます、小林舞さん。四菱地所へようこそ』
優しく温かい響きに、涙が滲んだ。
恥ずかしいだとか、みっともないだとか、考えている余裕はなかった。
「ありがとうございます……!」
スマホの前で何度も何度もお辞儀をし、上の空で今後の予定を確認し、夢見心地で電話を切った。
信じられない。
夢にまで見た未来が広がっている。手を伸ばせば届くほど近くに。
「お父さん、やったよ。なれるんだよ。デベロッパーに……」
舞はスマホを握りしめたまま号泣し、床へ崩れ落ちた。
言葉にならない想いが熱い涙となり、とめどなく滴り落ちて海を造る。
世界は、全てを祝福するかのように輝いていた。




