表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/292

57

舞はしどろもどろになった。


「えっと、だから……これから、変なこととかしないでちゃんとしてくれるなら、私、少しは、」


久松が思わず吹き出した。


唖然あぜんと口を開いた舞を尻目に、身体をくの字に折って爆笑している。


手のひらが何度もベッドの縁をたたいた。


笑いすぎて目に涙を滲ませながら、


「ほんっとに面白いね、君は。あれだけいろいろされといて、まだ俺のこと信じるんだ」


「な……違います!信じてなんかいません」


舞は言い返したが、久松は耳に入っていないのか笑い転げている。


ひとしきり笑い終えると、久松は不意に真面目な顔になった。


「あんまりさ、そうやって人のこと信用しないほうがいいよ」


「だから、」


信じてません、と言いかけた舞の言葉は、突然の抱擁ほうようで妨げられた。


背中に腕を回され、閉じ込めるようにきつく抱きしめられる。


氷のように冷たい身体が、久松の体温と融和ゆうわしてわずかに暖まる。


驚きが一瞬、その後に鮮烈な恐怖が襲い、舞は腕の中でもがいた。


身の危険に心が激しく警報を鳴らしている。


「離して!」


「無理」


久松は端的に言うと、さらに腕に力を込めた。


胸に顔を押しつけられ、身体が完全に密着した状態で、舞は息苦しさにあえいだ。


「久松さん、痛い、」


肌を通してじかに体温が伝わり、身体は燃えるように熱くなってきた。


酸素が圧倒的に足りず、息があがってくる。心臓の鼓動が狂ったように速い。


この人は自分を殺そうとしているのではないか、と舞は本気で疑った。


気が遠くなるくらいの時間がすぎてようやく、久松は舞の身体を離した。


「やっと温まったね」


言われてようやく、舞は寒気が嘘のように治まっていることに気づいた。


頬は上気し、額にはうっすらと汗をかいている。


「こんなの誰も頼んでません」


舞はそっぽを向いた。


「何?なんか別のこと期待してたの?」


久松がからかうので、


「してません!」


舞は今度こそスタンドライトを投げつけたのだった。

















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ