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数日後、舞は再び四井不動産東京本社を訪れていた。


エントリーシートと適性検査を通過し、本日はグループディスカッションによる一次選考が行われる。


あれ以来、百合は舞のことを露骨ろこつに無視するようになった。


話をしたいと思っても、徹底的に避けられてしまって糸口がつかめない。


そのせいか、牡丹をはじめとする他のホステスからも風当たりが強くなり、ますます店に居づらくなってしまった。


原因は、間違いなく先日の一件だろう。


若手国会議員の笠原修一が自分を指名したことだ。


事情を洗いざらい話して許しを乞いたいが、果たして受け入れてくれるだろうか。


それに修一が自分に同情してくれていたにせよ、指名をくれたことに変わりはないのだ。


百合の客を取ってしまったという事実は厳然げんぜんとしてそこにあった。


それにしても、久松は何を考えているのだろう。


舞には、あの男が百合に何かよからぬことを吹き込んでいるように思えてならなかった。


言いようのない不安に包まれたまま、控室に入る。


すると、ふわふわしたパーマに猫のような目をした若者が、


「ああ!小林さんじゃないか」


以前セミナーでしつこく連絡先を尋ねてきた男、松尾アキラだった。


再会することになるとは。しかもよりによってまた、こんな近くに。


舞は複雑な気持ちで笑顔を浮かべる。


「こんにちは」


「久しぶりだね。元気だった?また会えて嬉しいよ」


他の学生たちも大勢いる前で堂々と言い寄ってくる。


その快活さと自由さが舞にはうらやましくもうとましくもあった。


「ええ、どうも」


中途半端な相づちを打つと、松尾は声をひそめて言った。


「実際のところ、このGDグループディスカッションってどうなんだろうね?」

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