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久松爽は、「ああ、」と腑に落ちたように、
「さっき各グループが3分間で発表したでしょ。あの時に名札をチェックさせていただきました。ちなみに、さっきの彼は松尾アキラ君」
信じられなかった。
舞は同じグループの人の顔と名前さえ覚えることができなかったというのに、この若者はあの短時間で100人以上の名前と顔を把握したというのか。
「君の出した、『森林公園と融合させた環境保存型のテーマパーク』のアイデアは良かったよ。
収益性と環境、両方が見込めるプランだからね。
ただ、現実的には用地面積や予算の面で難しいだろうけど」
「は、はあ……」
お礼を言うべきか恐縮すべきか分からず、舞はあいまいに頷く。
久松は軽く笑い、優雅なお辞儀をした。
「じゃあ、気をつけて帰ってください。よければまたセミナーや社員訪問に参加してみてください。お待ちしています」