表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
289/292

アフターストーリー・69

舞は怒りが消え、いつになく心に安らぎが戻ってくるのを感じた。


それと同時に、そろそろと身じろぎをして、


「あのう……久松さん?そろそろ離してもらえませんか。氷枕とか用意しますから」


「それよりさ、」


久松は熱に浮かされたような瞳で、じっと舞を見つめる。


舞は何だか嫌な汗が背中をつたってゆくのを感じていた。こういう予感は外れたためしがない。


「昨日と今日、あいつとどこに行ったの」


口調こそ穏やかだが、目には剣呑けんのんな光が宿っている。


「……っ」


やましいことは一切ないのだが、舞は言葉に詰まって目を逸らす。


「俺は昨日あいつに、君を地下鉄の駅まで送って、会社近くのカフェにでも預けておいてって言っといたんだよね。なのに、なぜか君たちはずーっと一緒にいて、随分と仲よくなったみたいだね」


にこやかながら殺気に満ちた気配に、舞は慌てて久松の腕から逃れようとする。


「ち、ちが」


「俺、言ったよね。浮気するような悪い子は、お仕置きするって」


病人とは思えない力でがっちりと押さえつけられる。


舞はこれまでの経験上、これから先の展開が読めすぎて泣きそうになった。


久松は体調の悪さはどこへやら、もはや完全に舞の上にのしかかって、嬉しそうに満面の笑みを浮かべている。


その凶悪さといったら、魔王でも尻尾を巻いて逃げ出しそうだった。


肩に手をかけられて服をはだけられ、舞は懇願するように言った。


「待ってください。久松さ」


「待たない」


久松はきっぱりと言い切ると、唇で舞の言葉を封じる。


「……風邪ってさ、うつせば治るんだったよね?」


その言葉を聞いた瞬間、舞は最後の望みの糸が切れるのが分かった。

















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ