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アフターストーリー・57
地下鉄の駅で待っていると、しばらくして一詩は走ってきた。
Tシャツにコットンパンツと、昨日よりもラフな格好をしている。
若々しくエネルギッシュ様子は、まるで学生のようだった。
舞の姿を一目見るなり、安堵したように息をつき、大きな手のひらで舞の両手を握りしめる。
「よかった。トラブルに巻き込まれていないか心配したよ」
親切がありがたく申し訳ない。
もう社会人二年目なのに、一人では本当に何もできない自分がふがいなく、腹立たしかった。
「ご迷惑をおかけしてすみません」
礼儀正しく頭を下げた舞に、一詩は首を振った。
「今朝、久松から電話があったんだよ。あんたが俺のところへ来てないかって。それで何かあったんだなって察したんだけど、あいつ詳しいことは全然教えてくれなくてさ。
ともかく、無事でよかった」
いかにも見栄っぱりなあの男のやりそうなことだ。
舞は納得すると同時に怒りをくすぶらせる。
「ともかく昼だし、飯でも食おう」
と言って、一詩は繁華街のレストランに入った。
通りに面したオープンカフェで、白と緑を基調としたおしゃれな店だった。




