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アフターストーリー・54
「『一番早い便で、明日の十一時に出発になります』」
ニューヨーク国際空港のチケットカウンターで、受付の女性はにべもなく言い切った。
「『今日中に出立する便はありませんか?時間はいつでも構わないんですが』」
たどたどしい英語で何とか食い下がった舞に、女性はきっぱりと首を振る。
「『あいにく今日のフライトは全便満席となっております。どうなさいますか?』」
舞の後ろにも観光客と思しき人々が長蛇の列を作っている。
女性は舞に割く時間がないことを、態度でふんだんに匂わせていた。
舞は小さくため息をつくと、
「『……分かりました。では、明日十一時の便を予約していただけますか』」
「『承知いたしました』」
女性は手際よくパソコンを操作すると、舞に帰りのフライトチケットを手渡した。




