270/292
アフターストーリー・50
すかさず松尾が立ち上がり、
「うわーっ!小林さんずるい!俺も千草さんの胸……ガッ」
恵が彼のみぞおちに痛烈な一撃を打つ。
もはや夫婦漫才のようなやりとりに、久松は無邪気な笑い声を立てた。
百合は舞の肩に手を回し、支えるようにして言った。
「舞、立てる?……もう、何で酔うほど飲むのかな」
舞はもはや目が開かないらしく、ぐったりと身を預けている。
「ごめ……なさ……」
「この子、弱いの?」
千草が尋ねると、百合は肩をすくめて、
「もう、全然。ビール一杯ですぐ真っ赤になっちゃうのよ。自分でも分かってるはずなんだけど」
「あら、じゃあ私のせいかもしれないわ。全然知らなかったから、さっきお酒を勧めちゃったもの。きっと無理してたのね。ごめんなさいね」
申し訳なさそうに千草が言うが、舞は聞こえていないのか完全に百合に身を委ねている。
眠り姫のような寝顔を軽くたたいて、百合は、
「舞?気持ち悪くないの?吐かなくて大丈夫?」
「顔色は悪くないから、寝かせておけば平気だよ」
事の成り行きを完全に傍観していた久松が、あっさりと言った。




