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アフターストーリー・44
【第2章】
「ええー?篠宮さんって役員なんですか?!すっごーい」
恵の甘い声が響いて、舞はふっと追憶の海から浮上した。
気づけば、他の面々はかなりのペースで酒杯を空けながら、楽しげなおしゃべりに興じている。
百合や千草は顔色一つ変わっていないが、松尾が赤ら顔でへべれけになっていた。
「いや、役員の秘書のようなものだ。役員会議の末席に座れるくらいだな」
葵ははぐらかしたりせず、真面目に答えている。
恵が瞳を不敵に輝かせた。
両手を組み合わせ、上目遣いで、
「素敵。お仕事できるんですね。私、デベロッパー志望なんですけど、今度OB訪問させてもらえませんか?」
なかなかアグレッシブな態度に、しかし葵はたじろぐ様子もなく、淡々と請け合った。
「ああ。予定を調整してみよう」
「わあ、ありがとうございます!」
恵が嬉しそうに笑う、それだけで場の雰囲気がぱっと華やぐ。
「兄妹そろってデベロッパーか。恐ろしいな、お前の家族は。敵に回すと厄介なことこの上ない」




