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アフターストーリー・42
「そうだ、救急車を――」
独り言のように呟き、立ち上がってスマホを手にした瞬間、舞は突然がばりと起き上がった。
そして、呆気にとられて隙だらけの久松を残し、目にも止まらぬ速さでロックを開け、脱兎のごとく外へ走り出す。
ようやく騙されたと悟って、久松が焦った声で叫ぶ。
「待てって、どこ行くんだよ!」
追いかけようとするが、さすがに上半身裸のまま出るわけにもいかない。
そうすれば、変質者が若い女に迫っているという構図にしかならない。
警察を呼ばれたら確実に捕まるだろう。
久松は舌打ちをして部屋に走り、適当な衣服を引っつかんで着がえに戻るのだった。




