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アフターストーリー・40
「どこまで私のこと、馬鹿にすれば気がすむんですか。私はもう、うんざりです!
金輪際、二度と、一生、あなたに会ったりしません。さようなら」
「だから誤解だって」
背中を向けたところを抱きすくめられて、無理やり玄関の前の床に座り込まされる。
両手を体の前でがっちり組まれて、身動きが取れないよう拘束され、舞はじたばたとあがいた。
久松の燃えるように熱い体温が伝わってきて肌を火照らせる。
「やめてください!!さわらないで!」
「さっきの人はプロジェクトの関係者だよ。打ち合わせが長引いて、たまたま家に泊まっていっただけ。君が思うようなことはしてないよ」
あんな格好で、一体どんな『打ち合わせ』をしていたというのだろうか。
白々しいにもほどがある。開いた口がふさがらないとはこのことだ。
「そんな嘘に騙されると思ってるんですか?」
「本当だって」
久松は小さく笑って舞の髪を撫でて唇を押し当てる。
耳元でからかうような声が言った。
「何?もしかして嫉妬してるのかな?舞ちゃんは」
ぶつん、と派手な音を立てて堪忍袋の緒が切れた。




