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アフターストーリー・38
「……狭山さんが教えてくださったんです。昨日名刺を頂いたときに」
それでようやく納得したのか、久松は苦々しく言う。
「クマオの奴、勝手なことをして」
「勝手なのはどっちですか!」
舞は両肩を押さえつけている手を振り払おうとして、もがきながら叫んだ。
「あんなに優しい人をパシリみたいに使って。その上、仕事が終わらないって嘘までついて。
狭山さんは親切にホテルまでついてきてくださったんですよ。それも全部、久松さんのせいです!なのに、」
久松はすうっと目を細めた。
「……何だって?」
険しい顔と口ぶりに、舞は一瞬、気圧されかける。
しかし、今日という今日は絶対に引くもんかという意地があった。
唇を引き結んでいる舞に、久松はまるで捜査官のように尋問した。
「あいつと、地下鉄のターミナルで別れたんじゃなかったのか?」
とんちんかんなことを言っている久松に、舞は疑惑の眼差しを向ける。
この人は、また何かをごまかそうとしているのではないか――。




