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――未曾有の金融危機にある昨今の状況ですが、その中でどのような戦略をもって生き残りを図るおつもりでしょうか。御社の方向性を教えてください。
(久松)そうですね。我々は今後もデベロッパーの需要は決してなくならないと考えています。
開発や運営だけに留まらず、管理やリニューアルなどのストックビジネスの可能性はまだまだ大きいですし、他社に先がけて海外でのプロジェクトも推進しています。
そういう点において、むしろ未来は明るいと思いますね。今後はその方面にいっそう力を注ぎたいと考えております。
(篠宮)弊社の戦略といたしましては、現在よりもさらにソリューションビジネスを拡大しようと考えています。昨今丸ノ内開発もさかんに行われていますが、弊社は歴史も古く広大な土地と潤沢な資産を運用できるという強みがあります。
顧客との豊かな信頼関係を築き、豊富なデータを用いて長期的な利益を見据えた提案をするという点では、他社の追随を許さないと自負しています。
(久松)そうでしょうか?
20年やそこらの歴史の違いが、大して結果の差を生むとも思えませんが(苦笑)。
(篠宮)20年前というのは弊社が現在の経営母体に転換した時期であり、会社の設立自体は60年以上の差がありますね。そういった意味での歴史の違いはあると思います。
それと海外事業を他社に先がけて行ったとおっしゃいましたが、我が社は御社よりも先にタイのプーケット島におけるリゾート計画に着手していましたよ(笑)。
(久松)これは失礼しました(笑)。あまり記憶になかったものですから。たしか、往友不動産との共同開発でしたよね?収益が見込めず計画が頓挫したと聞いていますが。
(篠宮)いえ、それは憶測ですね(笑)。確かに当初はなかなか満足な結果を上げられませんでしたが、現在我が社のホテル事業部の年間利率の18位を占めており、十分に成功したと考えております。
―――にこやかながら熱い激論を交わしていただき、ありがとうございます。それでは、次の質問に移りたいと思います。
何だこの(笑)の応酬は。
葵はともかく、久松はきっとあの張りつけたようなえせくさい笑顔なのだろう。
笑いながら相手の弱点を突き、生き生きした目で人を追い詰める様子が目に浮かぶようだ。
舞はため息をついて雑誌を閉じた。




