アフターストーリー・27
しおれている舞を見て、一詩は頬をかき、
「あれ?ごめん、凹んだか?俺としちゃ、褒め言葉のつもりだったんだけど」
「いえ、大丈夫です。本当のことですから」
舞は無理に微笑んだものの、目元が硬く強張っている。
一詩は気まずそうに視線をそよがせると、大きく咳払いをした。
「えーっと……まあ、あれだ。それで四井に移動してきたとき、最初風当たりが厳しかったんだよ。どこの馬の骨とも知れないよそ者だし、同業の、しかも格下の会社から来たわけだろ?
表面上はにこやかでも、やっぱり侮られたり馬鹿にされたりしたわけよ」
「そうだったんですか……」
心を痛めて眉を寄せた舞に、一詩は大らかな笑みを向ける。
「あんたがそんな顔しなくてもいい。見てるこっちが悪い気がするだろ」
それに、と一詩は言葉を切って、
「結局、俺が仕事で成果を上げたら、周りもみんな黙ったからさ。今じゃ何事もなかったかのように仲間入りできてるから、安心しろって」
何であんたを安心させてるのか分かんないけどな、と言って一詩は笑う。
つられて舞も微笑んだ。
一詩は武骨な指を組みあわせると、呟いた。
「……久松には、借りがあるんだ」
「借り?」
「そう、借り」
一詩の瞳が、何かを思い出すように、ふっと揺らぐ。




