アフターストーリー・21
移動先のホテルのロビーでお茶を飲んでいると、舞のスマホに電話がかかってきた。
舞は自分でもびっくりするような素早さで取って、
「もしもし?!」
電話の向こうで、明るい笑い声が弾ける。
『もしもし舞ちゃん?元気だねえ』
久松の声がこんなに力強く、安心して聞こえたことはなかった。
今まで国際電話で話してきたときとは比べ物にならない喜びだった。
何せこの異国の地で、頼れる人は彼しかいないのだ。
舞が思わず涙ぐみそうになっていると、
『クマオには会えた?』
「は?クマオ?」
目を点にしている舞に、一詩は口パクで「オレオレ」と自分を指さした。
『狭山だよ。あいつ熊みたいだろ?だからクマオ』
自分の彼女のためにわざわざ時間を割いてくれている親切な友人に、よくもまあ失礼なことを言えたものだ。
舞は驚き呆れて、
「そういうこと言うのはやめてください。狭山さん、とっても親切に街まで案内してくれたんですよ。それに今だって、」
久松は舞の反論を軽やかに聞き流し、
『ああそう。じゃあ悪いんだけどさ、今日はどっか適当なホテルに泊まってもらえる?明日そっちに迎えに行くから』
その言葉に舞の全身が冷え切った。




