アフターストーリー・20
一詩は「ああ」と空港のロビーを見渡し、
「写真を見せてもらってたから。乗ってくる飛行機も教えてもらってたしね。それに、」
舞は首を傾げて、
「それに?」
一詩はいたずらを打ち明ける子供のように、人さし指を立てて言った。
「美人だから一目見れば分かるって。確かにそのとおりだったよ」
舞は猛烈な恥ずかしさと、ひと匙の嬉しさで胸が甘くうずくのが分かった。
久松が自分のことをそんなふうに言ってくれていたとは思わなかった。
一詩はそんな舞を見て、面白がるような顔で付け加える。
「あと、うっかりしてて物を取られるか、男に絡まれるかして、トラブルに巻き込まれてるはずだって言ってた。一人にしておくと何をしでかすか分からないって」
がん、と頭に重たい岩が落ちてくる。
ふわふわしたいい気分に一瞬にして水を差され、舞は肩を落とした。
一詩はたくましい腕を組んで、感心したように言う。
「いやーあのときは彼女のことそんなに心配なのかって感動してたけど、実際会うと全部あいつが言ったとおりだったよ。久松って予言者みたいだな」
彼氏――あくまでも『一応』だが――が褒められているのに、舞は全く嬉しい気がしなかった。
「あの……久松さんは他に何か言っていませんでしたか?私に――伝言とか」
一縷の望みをかけて尋ねた舞に、
「ああ。『こんなことだろうと思った』って言っといて、だって」
一詩は屈託のない笑顔でとどめを刺した。




