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アフターストーリー・19
男性はそんな舞を置いておいてひとしきり笑いこけると、
「いきなり驚かせてごめんな。俺は狭山一詩。四井不動産のデベロッパーで、久松の悪友。今日は久松に『俺の代わりに行け』って命令されて、姫をお迎えにあがった次第です」
おどけたように自己紹介されて、舞はようやく事の次第を飲み込むことができた。
それと同時に、久松に友人がいたのだということに驚く。
「すみません。私、何も聞かされていなかったものですから」
一詩は「いやいや」とおおらかな笑顔で手を振って、
「俺も昨日いきなり言われたんだよ。有休取るんだって話をしたら、王様みたいにふんぞり返って、『じゃあ俺の彼女を迎えに行ってこい』ってね。相変わらず人使いの荒い奴だよ」
一詩に命令する久松の姿がありありと想像できて、舞はさらに恐縮した。
「すみません。せっかくのお休みに」
頭を下げる舞を目を細めて見つめ、一詩はふっと唇を緩めた。
「何で小林さんが謝るんだよ」
舞はさらに「ごめんなさい」と謝ると、
「でも、どうして私が分かったんですか?こんなにたくさん人がいるのに」




