アフターストーリー・11
舞の視線に気づいたのか、千草はにっこりと華やかに笑って、
「あら、舞ちゃん。グラス空いているわね。何か飲む?」
舞は一瞬瞳を彷徨わせるが、千草の悪気のない笑顔を見ていると断りづらく、
「あ……はい。ありがとうございます」
千草が頼んだ酒はアルコール度数がかなり高く、舞は一口飲んだだけで頭がくらりとした。
それでも、緊張を紛らわし口数が少ないのをごまかそうと思い、必死で飲み続ける。
気づいた百合が心配そうな視線を向けた。
テーブルを挟んだ向かいでは、松尾が久松に仕事や恋愛がらみの質問をぶつけている。
久松が応えたりはぐらかしたりして適当にあしらっていると、
「そういや先輩、去年の夏に一度帰国されたんですよね?やっぱり日本が恋しくなったんですか?」
その質問に、舞がぴくりと肩を動かした。
「……どうした?」
葵が不思議そうな目でこちらを見つめてくる。
透徹な瞳に吸い込まれそうになりながら、舞は舌をもつれさせた。
「い……いえ……何も」
久松はああ、と軽く請け合うと、
「日本がっていうより、舞が恋しくなってね」
「……!!!」
恵が猫のように全身の毛を逆立てている。
百合は目を瞬かせ、呆れたように肩をすくめる。
千草は微笑ましく二人を見つめている。
松尾が「ひゅーひゅー!!!」と歓声を上げた。




