アフターストーリー・7
披露宴を終えると、舞の両親は疲れて眠ってしまった踊を連れて家に帰っていった。
その他の友人たちとも挨拶を済ませ、クラブ『百合』に足を運んだのは舞も含めて七人。
個室に入って久松がテーブルを挟んだ奥の席につくと、恵は真っ先に声を上げた。
「私、お兄ちゃんの隣!」
大学三年生になっても無邪気な愛らしさは変わらず、あどけない桃色の唇が特長的な美少女だった。
すかさず、その横で松尾が、
「じゃあ俺、恵ちゃんの隣!」
四井不動産入社三年目の若手デベロッパーとして、めきめきと頭角を現している青年とは思えないくだけたテンションに、隣にいた葵がぎょっとした顔をしている。
「はいはい。私はここに座るから。飲み物の手配とか楽だしね。舞、ここの席取っといて」
百合はそう言ってテーブルを挟んだ手前、久松の向かいの最もドアに近い席を指すと、一度個室を出て足早に店の奥へ去ってゆく。
「手伝おうか」
百合に問いかけた葵の袖を軽く引っ張り、千草が、
「大丈夫よ。百合さんに任せておきなさい。私たちお客は、気を回さないほうがかえっていいのよ」
葵は納得したのか頷いて、言われるままに松尾の席の隣につく。
その横に千草が座ったので、舞は百合と千草の間の席に、居心地悪そうに腰かけることになった。
見ると、真正面の恵から非常に強い視線が送られてくる。
結婚が決まってから、食事会などで何度か顔を合わせる機会があったのだが、恵は妙によそよそしい態度だった。
その理由が気にはなっていたのだが、口には出せずにいた。




