アフターストーリー・5
舞は久松漣が苦手だった。
理由は明らかだった。
この人は、爽に似すぎている。
親子なのだから当たり前かもしれないが、その強すぎる輝きに圧倒されてしまうのだ。
漣と爽が一緒にいるところを見ると、何だか気おくれがして逃げ出したくなってしまう。
こんなことで大丈夫なのだろうかと不安に思っていると、扉が開かれる音がした。
「人のいないところで、勝手に不肖の息子呼ばわりはやめてほしいな」
新郎の白いタキシードを着た久松と、美しいドレスに身を包んだ千草が現れた。
二人ともまるで普段から着こなしているかのように衣装が似合っている。
傍から見ると、この二人が結婚するのではないかとさえ思えた。
漣は息子の存在を完全に無視して千草に近づくと、
「おお。あなたはいつぞやのパーティーでお目にかかった……」
千草は艶麗な笑みを浮かべ、
「本条かなえと申します。先日の米国大使館でのパーティーでは、主人ともどもお世話になりました」
「ではやはり本条参事官の奥方か。道理で彼が有能なはずだ。こんなに美しい女性がそばにいてくれれば、私も年甲斐もなく高い山に挑戦してみたくなるだろうからね」
「お上手ですね。さすが久松君のお父様」
千草は揺るぎない自信をたたえた笑みであしらう。




