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アフターストーリー・4
この男、ただ者ではない。
政治家か医師か法曹界の人間か――ともかく、ハイソサエティの住人であることは間違いない。
百合は一目でそう見抜くと、居ずまいを正した。
「君は……?」
「百合と申します。舞の友人です」
男性はにっこりと微笑むと、礼儀正しく頭を下げた。
「そうですか。失礼、申し遅れました。私は爽の父で、久松漣と申します」
「お父様ですか。随分とお若くていらっしゃるんですね」
漣は人懐っこく笑うと、
「年寄りをおだてるのはやめてください。あなたのような美しい方におっしゃられると、本気にしてしまう」
溶けてしまいそうなほど情熱的な視線に、さすがの百合もくらっときそうになった。
漣は舞の傍に近寄ると、
「舞君、今日の君はいつにもまして一段と美しい。額縁に入れて飾っておきたいほどだよ。不肖の息子のために嫁いできてくれて、本当にありがとう。改めて心からお礼を言わせてほしい」
そう言って、舞の白い手袋をはめた両手を取る。
舞はどぎまぎして思わず目を逸らした。
「あ……ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いいたします」




