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「誰だお前!」


かばった手から血を滲ませながら、男の一人がえた。


階段の上、エントランスの自動ドアの影から、久松爽が悠然と笑みを浮かべて彼らを見下ろしていた。


「悪いね。君たちと違って、足が長くて」


今日もグレーの洒落たスーツを完璧に着こなし、ただごとではない高級感を漂わせている。


モデルのような均整の取れた体つきと、人目を惹く華麗な容貌に、二人はにわかに怖気づいた。


「ひ、人に怪我をさせておいて、その態度はなんだ!謝れ!」


何とか威嚇いかくを試みるが、久松はふざけたように笑って、


「だから謝っただろ。細かいことに文句をつけるなよ。さっさと消えてくれる?お前らに用はないから」


明らかに挑発して楽しんでいる。


底意地の悪い笑顔を見て、舞は確信した。


案の定、男は怒りに顔を真っ赤にし、唾を飛ばして激昂している。


「ふざけるな!侮辱しやがって……傷害罪で訴えてやる!!!お前はどこの部署だ!」


久松は両手を広げて鷹揚おうような笑みを浮かべ、


「どうぞご自由に。けどお前らが俺を訴えるんなら、俺もお前らを訴えてやるよ。そこの女性の名誉毀損罪めいよきそんざいでな」


二人が示し合わせたかのように息を呑み、視線を舞へと向ける。


久松は威圧的なオーラを放ちながら、立ちすくんだままの舞のそばまで降りてくる。


その瞳は二人を射抜いて凶悪に笑っていた。


「証拠はばっちりここに残っている。お前らの下劣極まりない笑い声から、勘違いして俺に突っかかってくるまで一部始終な」


ボタンを押してスマホの録画機能を止めると、久松は低い声で凄んだ。


「俺は四井不動産の久松爽だ。よろしくお見知りおきを。ちなみにお前らの顔と名前を特定できるくらいの地位にはいるから、つまらない自己紹介はしてくれなくて結構」


二人の顔がみるみるうちに青ざめた。

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