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白くまぶしい朝日が、ガラス窓を透かして差し込んでくる。


柔らかな静けさに満ちたホテルの一室で、久松爽はすっきりと気分良く目を覚ました。


ベッドから身を起こすと、隣で眠っていた千草が眠そうに身じろぎするのが分かった。


「起きなくていいですよ。まだ5時ですから」


「5時?」


寝ぼけまなこで目をこすり、千草は機嫌の悪い声で言う。


一糸まとわぬ裸体は、ギリシャ神話に登場する戦いの女神のように均整が取れていて美しい。


「何でこんな朝早いの……爽っておじいちゃんみたいね」


欠伸をしながら千草は毒づいた。


久松は軽く笑うと、シャワーを浴びて手際よく着替える。


その間も、千草はなまめかしい肢体をさらけ出したままベッドに横たわっていた。


「俺、先に行きますね」


「なあに?一旦家に帰るの?」


曖昧に笑った久松に、千草は「面倒なことするのね」と呟いた。


「まあ別にいいけど。チェックアウトは私がしておくから、お先にどうぞ」


「払いますよ」


財布を取り出した久松を、千草は手を振って押しとどめた。


「いいわよ。今回は私が誘ったんだし」


「じゃあ、すみませんがお言葉に甘えて。今度は俺が持ちますね。飲み代もホテルも」


「毎回ホテルがセットになってるみたいな言い方しないでよね」


「あれ、違いましたっけ?」


久松はいたずらっぽい笑顔で首を傾げる。


千草は溜息をついた。


こんなにそばにいて、こんなに共に時間を過ごし、こんなに互いのことをよく知っているのに――どうしてだろう、彼が遠く遠く思える。


じゃあ、と扉に向かって歩きだした久松の後姿に、千草は思わず声をかけていた。


「どういう心境の変化?」


久松がぴたりと足を止め、首だけで振り返る。


「あなたちょっと前までは、力任せにエネルギーをぶつけてくるだけだったのよね。仕事も恋愛も。でも今は少し違う。悪い意味で優しくなった。激しさが消えたわ」


「激しいのがお望みだったなら、最初からそう言ってくださいよ」


「馬鹿」


千草は手元にあった羽毛枕を投げつける。


久松は笑いながらひょいとそれを避けた。

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