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第❺話 スクリーンの中にいる殺人鬼が……


安田青太(やすだ あおた)は白目をむいてトリップしていた……。


ホラー映画に対し免疫のない青太にとって、

()みどろの湖畔(こはん)』は刺激が強かったし

また、それを最前列で観ることが苦痛でしかなかった。


しかし、大好きな速水なずなのために……

青太は叫び出したいのを必死でこらえて

半気絶をしていた。



映画の中の殺人鬼は、

森の中をねり歩いていた。


右手には血みどろのオノ…………。

そして、左手には若者の生首があった…………。



生首状態にされてしまった若者は、


高校の夏休みに彼女と一緒に森の湖畔に遊びに来ていた者だった。


水辺でドラッグをやりながら

彼女を裸にしてイチャついているところに、

殺人鬼である大柄で無口な男はやってきて、

太い腕で振り落とされたオノによって

カップルの男はやられた…………。


そして、裸の女は森の中を逃げている。

それを男の生首を持って追いかける殺人鬼…………。


青太は限界に近く頭がガンガンと痛んだ。


なずなは画面に釘付(くぎづ)けになっており、

半開きの口からは笑みがこぼれている。



青太はくらくらと頭をゆらし、

なずなからもらっていた≪頭痛薬≫をポケットから出した。


そしてリュックから≪ペットボトルの水≫を取り出し、蓋を開ける。


薬を口に含んで水を飲もうとペットボトルを傾けた時、

スクリーンで逃げまどう女性が「ギャアアアアアアアアアアアア!」と叫んだ!


それに驚いた青太はペットボトルをすべらせてしまい、

隣に座るなずなの胸元にかかってしまう。


「うわ」となずなは驚く。

そして、学生服をつかんで水にぬれたところをどうにかしようとする。


すると、その隙間から、水色のブラジャーのひもが見える。

そして≪谷間≫が見えたことで

青太は「…………!」驚き、顔を赤くした。



次の瞬間……、

信じられないことが起きた。




スクリーンの中にいる殺人鬼が

急に……


くるっとこちらを向いた。



「?」


青太と目が合った。

ような気がした。


青太は「え?」と固まる。



スクリーンの中の殺人鬼は、振り返ったまま青太と目を合わせている。

「え? ……え?」


そして殺人鬼がザ…ザ…とこちらへやってくる。


青太は「いやいやいや……」と思いつつも、

その殺人鬼から目が離せない。



なずなは「もお、青太のドジぃ」と言いながらハンカチで胸元を拭いている。



青太はスクリーンから目が離せない。


森の中をまっすぐに()()()()()()()()()()()()()()()


「…………え?」


殺人鬼がスクリーンから長靴を突き出し、

多目的ホールの床にザ……と足をおろした。


「!!!!!!!!!!!!!!」


青太が顔面蒼白となる。


「あ、あ、あ、な、なず……なずな……」


「何よ。もお、めちゃくちゃ濡れちゃったじゃん」


「な、う、うわあ、……なずな!」


と、青太はなずなの服を引っ張り、前を見るように即す。


なずなは「何よ」とイラついた声を出したが、

前を見るなり、ぎょっとする。


「え! うわあああ!」


二人は席から立ち上がる。


麻袋をかぶった殺人鬼が、多目的ホールの床に立っている。

右手にはオノを持っており、左手には生首がある……。



「ぎゃあああああああああああ!」と青太は叫んだ。


「ちょ、な、ナニコレ」


なずなも動揺している。



「ヴゴォォォォォォオッォォォォォォォ!!!!!!!」


と、殺人鬼は重低音の声で叫んだ。


その声は明らかに目の前の殺人鬼から聞こえるし、

そこいるのは立体的な人間だった。


スクリーンには森しか映っていない。


殺人鬼がスクリーンから出てきたのだッッッ!!!!!!


なずなは「に、逃げよう!」と言う。

そして、床に置いてある青太のリュックを拾い、

青太に押し付ける。


「青太! 早く逃げるよ!」


「あ、ああああ」


青太はなずなに引っ張られて、パイプ椅子をなぎ倒し走り出す。


ガッシャアアアン。

と、後ろから大きな音が聞こえて振り返ると、

殺人鬼がオノでパイプ椅子を壊していた。


直後、ゴトッと重たい音がすぐ後ろで聞こえたので

振り返ってみると、

床に、男の生首が転がっている。


殺人鬼は生首を投げてきたのだ…………。


「う、うわああああああああああ!」



青太となずなは多目的ホールを出て、

階段をかけおりる。

4階から3階、3階から2階、

そして2階から1階にたどりついて


入口だったガラス戸に到着するが

……開かない。


「ちょっとナニコレ!!!! 開かないじゃないッッ!!!!!」


「う、うわあああああああああああ何だよこれ」


なずなは焦っている。

ザ……ザ……と殺人鬼の足音がなぜか鮮明に聞こえてくる。


「あの、職員の女の人はどこ!?!?!?!?!?!?!?」


「わ、わからない……」


「すいませーん!!!!! 扉が開かないんです!!!!!!」


しかし、返事は何もない。

殺人鬼の足音が大きくなっていくばかりだった…………。



なんと……スクリーンから殺人鬼が……旧図書館に閉じ込められた二人……。

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