【8話 お姫様と夏】
お嬢様は夏の暑さにだれていた。
「執事~あついわー溶けちゃいそう」
「お嬢様、だらしがありませんよ。」
「だって暑いんだもん。」
そういうとやはり暑いのかドレスをたくしあげようとする。
「はしたないですよ。お嬢様!!」
「だって~」
だだっ子のように彼女が執事を見つめていると執事があきらめたようにあるものを取り出した。
「これは…」
「他国の氷菓子でジェラートというらしいですよ。」
冷たい冷気を仄かに放っているジェラートを見て彼女は目をキラキラさせながら見ている。
その様子はとても可愛らしく私は思わず手を止めてしまった。
「お嬢様、お待たせいたしました。こちらのスプーンでお食べください。」
「ありがと。なんだか食べるのがもったいないわ。」
いとおしいそうにジェラートを見ている彼女。
「溶けても知りませんよ。」
「分かってるわよ。うーん!!冷たくて美味しいわ」
ジェラートをスプーンですくい何度も食べているとふと疑問に思ったことを執事に聞いた。
「これってもしかして王子からのお土産?」
「さようでございます。」
「やっぱり///」
案の定のリアクションに執事があきれてると彼女はふと悲しい声で呟き始めた。
「王子といい兵士長といい何で最近会いに来てくれないのかしらね。」
「両方お忙しい方ですからね。落ち着いたら会いに来てくれると思いますよ。そのときは安心して王子といちゃついてください。」
「いちゃつかないわよ!!」
ジェラートを食べて少し大人になったお姫様であった。
次回は明日の21時予定です。