【10話 お姫様と昔話】
お姫様の過去話です。
これはまだお姫様が小さかった頃の話
まだ幼い彼女はおてんばであり、執事を振り切って城の中を探索していた。
「いつもいつも、しつじはうるさいのよ。」
悪態をつきながらも小さな歩幅でとことこと歩いていく。
「あっちにはなにがあるのかしら?」
そういうと少し古ぼけた扉のところにいく。
「きっと、このさきにたのしいところがあるのね!」
扉のさきは階段となっており、先はたいまつの灯りでうっすら見える程度である。彼女は怖がりながらも少しずつ進む。
「べっ別にこわくないもん!!」
すこしすると1つの扉がそこにはあった。
「あいてるわ!!」
その扉は鍵が壊れているのかすんなりと開き、彼女はそのなかに吸い込まれるように入っていった。
そこには古ぼけた本棚とランタンそして奥にさらに扉があるだけでほかにはなにもなかった。
「なーんだ。つまんないの。
ただ、ほんだながあるだけじゃない。」
そういうと彼女は1つ本を取ると読み始めた。
「なんてかいてあるかわかんないわー」
本を読めないことに彼女が膨れてると急に部屋の明かりが消えた。
「きゃっ!!え、なに」
突然の出来事で慌てている彼女。
そうしていると奥の扉からカタカタと音がする。
カタカタ
「う、う、うっ」
気丈に振る舞っていた彼女であったが一人でいる寂しさと共に近くになにがいるかもしれないと恐怖が同時に襲ってくる。
「おかあさまー」
涙声で近しい者の名前を呼ぶ。
「おとうさまーーしつじーー」
しかし、返事はない。
ガタガタガタ
奥の扉の音が大きくなっていく。
「だれか、たすけてーーー!!!」
バンと入ってきたときの扉が開け放たれた。
「ひぃ!!」
恐怖から思わず彼女は目をつぶり顔をふせる。
「どうしたの?だいじょうぶ?」
優しいそうな声に恐る恐る目を開けるとそこには自分と同じくらいの年の少年がいた。
「あなたは?」
思わず聞いてしまう。
「ぼくは◯◯。となりのくにのおうじさ!
よければきみのなまえもおしえてくれないかい?かわいいおじょうさま。」
そう、キザったらしくいう。
「わたしは――」
これが二人の初めての出会いだった。
次回は明日の21時予定です。