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1、始まり


「だからさっきから言ってるでしょ!私は世界を見たいの!」


「分かってるけど心配なのよ!まだ18歳でしょうあなた一人で行くのはやっぱり無理よ。」


「そうだよ母さんの言う通りだ。もう少し待つか誰かと。」


「もう大人よ!薬も一通り作れるようになったし。」


母さんが深くため息を吐いた。妥協案を出すようだ。


「分かった、じゃあ明日、昔からとても頼りになる2人に会いに行こう。そこでもう1度話し合うわ。リクもいい?」


「僕は君が決めた事なら。」


「私は何を言われても行くわ!」


私は部屋に戻って旅の準備を進める。とにかく調合の為に居るものを魔法具の収納袋に入れていく。でも母さんを説得しないと無理だろうな。

ブーツを脱いでベッドに飛び込む、明日どうなるか分からないけど寝てしまおう。




「久しぶりねクイン、スコープ。」


「ええ、久しぶり、リア…アン!」


「やあ、こんにちは。」


母さんが転移で連れてきたのは明らかに魔王城のような場所だ。禍々しい玉座に座っている2人が私達の元へ降りてくる。クインと呼ばれた若い女性は前に見た事がある人だ確か勇者?隣の男性はこの前のブルーとは違う人だ。

スコープの方はなんというかクインが大好きって感じでニコニコとクインを見ている。イケメンだけどクイン以外見えていなさそう。2人とも若いから新婚さんなのかな?ラブラブだし。

そして2人に連れられて夫婦の私室だという部屋に招かれた。部屋に8人がけのテーブルがあってそこでクインがお茶を出してくれた。


「…という事なの。クイン、この子1人で旅に出るって言うのよ!」


「そうなの。それで心配なのね。」


「そうなのよ!それに旅に出る理由が外の世界を見たいからって!」


「うーん、そうね。でも私も旅に出たのは同じ位の年齢だったし。」


「あなたは選ばれし勇者でしょう。この子は筋金入りの箱入り娘よ。」


母さんの言葉にムッとして口を開く。


「だから外の世界を見たいの!」


それに知りたい事もある。


「うーん、スコープはどう思う?」


クインは困ったように夫に助けを求める。だけどそもそも彼は話を聞いていたのかそれすら定かではない。


「そうだね。誰か強い子と一緒に旅に出るのはどうかな?」


「強い子?」


母さんが聞き返す。誰かと一緒に旅に出るって事?


「ええ、その子も世界を見たいって。その子と2人で行くのはどう?その子はとても強いし、僕はその子が子供の時から知っているから信頼できるし。」


「そうね、リンは薬の調合は叩き込んだからできるけど身を守る事はできないし。その子が守ってくれるなら良いのかしら?」


母さんが考え込んでいる。父さんはニコニコしながら私と母さんを見ている。この際旅に出る事を許してくれるならどんな条件でもいい。


「まずその子会わせてくれない?」


「ええ、呼びますよ。城内にいますから。」


城内、やっぱりここ城なんだ。スコープが魔法石に呼びかける。すると数分後ノックの音が聞こえた。スコープが促しドアが開いた。入ってきたのは灰色の髪で赤い瞳の180センチ位の身長の若い男だった。


「男の子かぁ。これでもリンは女の子だからなぁ。」


「男の子ですが信頼できる男の子です。」


母さんが項垂れる。スコープは笑顔のまま話しているこうなる事が分かっていたようだ。


「魔王様、この方々は?それにどのようなご用ですか?」


魔王?今スコープを魔王と?母さんどういう知り合い?クインは勇者でスコープは魔王?は?

母さんも父さんも顔色一つ変えないので知っていたらしい。私にも伝えておいてよ!


「やあウルフすまないね。こちらはお客様だから紹介は後でゆっくりするけど大事な事は先に聞いてしまおう。ウルフ、彼女と旅に出てみないかい?」


「は?」


ウルフは訝しげな表情で魔王を見た。そりゃそうだいきなり呼ばれて旅にって。


「彼女は薬師で世界を見たいらしい、君もよく言ってるじゃないか世界を見たいとそれにあの件も何か分かるかもしれないし。」


スコープはあの件と話す時だけ悲しそうな表情をした。何かあるようだ。


「そう、ですね。世界を。ですがそちらのお嬢さんは良いんですか?俺みたいなのが一緒で。」


「ふむ、アン彼はとても誠実な男で強く優しいよ。どうかな?」


「うーん、そうね。リクちょっと。」


母さんと父さんは部屋から出て話し合いを始めた。ウルフが私に話しかけてくる。


「君は?君は良いのか俺も一緒で?」


「正直、旅に出られるならなんでも良いの。」


「そうか。」


そして5分程で両親が帰ってきた。


「ウルフさん娘をよろしくお願いします。」


「ええ、はい。頑張ります。」


「やったー!旅に出られる!」


「リン、危ない所には絶対に行かないでね。」


「はいはい。」



そして私達は旅に出た。



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