間章
「まーた失敗、どうして二人の魂は絶対結ばれることがないんだろうねぇ」
吉原の遊女としてその儚い命を散らしていった小梅と…若旦那。またの名をリフィーとリネアの魂を手にのせてまた、レアルは呟いた。
「今度はエリリアに欠如していた恋愛に対する感情をより強くいれてみたけど…何が問題だったのかな?やっぱり生まれた時代とかが悪かったのかな?」
今まで二人の魂は、王族や遊女と言った過酷なところにばかり転生していた。もしかしたら、環境を変えれば二人は今度こそ結ばるかもしれない。それか、もともと二人が持っている不幸因子…人生の結末をより悪いものへと導いてしまうものが多いのが原因の可能性もある。だが、その魂が生まれたときに不幸因子の量の多さというものは決まっているのだ。
それは、人間の生を操るレアルでは変えることはできない。もしかしたら運命を操る女神、リーディスであれば変えることはできるかもしれないが、わざわざ人間のためだけにリーディスのところまでいくのは面倒だったからレアルは前者の方の説が正しいと信じて、もう一度二人の魂を下界に送り出すことにした。
前と同じように天界を吹き抜ける風に、二人の魂をのせて下界へ、届けさせる。その作業が滞りなく進み、二人の魂がちゃんと届いたことを確認すると、レアルはおぼろげにこう呟いた。
「それにしても、あの小梅の後の花魁。ずいぶんおかしな雰囲気をしていたな…」
レアルはふとした疑問を口にした。レアルはときどき、二人の魂の様子を見に行っていたのだが、そのときの花魁…禿は絶対に小梅の近くにいた。まるで、なにかから小梅を守っているような感じで、神であるレアルも少しどきまぎしたのを覚えている。
しかし悪意は感じず、むしろ小梅を守っているようにも見えた。彼女が小梅を見る目は、まるで自分のお気に入りの花を愛でるような感じであった。
「まあ、いいか。とにかく、今は二人の魂を見に行こう。こんどこそ、二人の人生に幸があらんことを…」
そういって、レアルは二人の魂の行く末を見届けるために下界へと向かうのであった。