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序章 ちいさなちいさなおとぎ話

序章


 『輪廻転生』このような言葉を、あなたはご存知でしょうか?一度死んだ魂がもう一度あたらしい 生命(いのち)として生まれ変わり、世界が繋がれていく…という思想です。この輪廻転生にまつわる一つの美しい物語を、今日はお話ししたいと思います。


 昔々、本当に遠い昔のことです。下界に、二人の愛し合った男女がいました。その二人は美しい容姿、問題を解決するための知識、困難に立ち向かう勇気。そのすべてを持ち合わせていました。


 そのため、村の全ての住人から尊敬され、愛されていました。名前はリフィーとリネアという名前で、どちらも雪のように白く美しい肌と綺麗な金髪の髪を持っていました。


 そんなある日、村にある一人のわがままな王が訪れました。どうやら、狩りに来ていたところ、道に迷ってしまって帰り道を探して数日間さ迷っていたようです。王は、村人に声をかけて帰り道を聞こうとしました。


 村人を探していると、王の目に一人の美しい女性の姿が映りました。王は、その女性を人目見た瞬間に恋をしてしまったのです。そして、彼女を自分の物だけにしたいと考えました。


 その女性こそ、リフィーでした。彼女はそんな王の気持ちなどつゆほど知らず、困っていそうだという理由で王に声をかけました。


「旅のお方、旅のお方、何かお困りなのでしょうか?私に手伝えることなら、なにかお手伝い致しましょうか?」


「すまない、私はこの国の王であるロファン=レーフィス=レイッシュだ。森で狩りをしていたところ、従者とはぐれてしまい、迷子になってしまったのだ。ここがどこだかわかるか?」


「まあ、王様でしたのね。これは失礼いたしました。ここは、辺鄙で小さな村ですわ。王宮へ行くにはたしかあちらを進めば、行けるはずです。」


「名も知らぬ美しき少女よ、感謝する」


 王がそういって立ち去ろうとしたとき、ぐーっとお腹の虫がなりました。すると、リフィーはおかしそうに笑って言いました。


「あら王様、お腹を空かせているのですか?それでしたら、どうか家へ来てくださいませ。王宮ほど豪華な食事はなくても、お腹一杯にすることはできますわ」


 王は、恥ずかしそうに言いました。


「御厚意に甘えさせていただこう。」


 こうして、リフィーは王を自分の家に招き入れて王に素朴ながらもとても美味しいご飯をたくさんだしました。王は全てを美味しそうに食べて、お腹一杯になったところでリフィーにこういいました。


「儂は今までたくさんの女性を見てきた。だが、お主のように器量もよく、美しい容姿をした女性を一度も見たことがない。良ければ、儂と一緒に都に来て結婚してくれないか?」


 突然の求婚に、リフィーは驚きました。王についていけば、絢爛豪華な暮らしが出来て一生苦労することはないでしょう。


 ですが、リフィーの頭の中にはすぐにリネアの姿が思い浮かびました。いくら豪華な生活が出来ても、愛するリネアを置いて都には行けません。


 だからリフィーはやんわりと王の求婚を断りました。


「王様、ごめんなさい。私には心に決めた方がおります。王様の気持ちはとても嬉しいのですが、私はあなたの気持ちを受けとる訳にはいきません」


 その答えを聞いた王様はリフィーの前では平静を保ちましたが、心のなかではその名前も姿も知らないリフィーの想い人に激しい嫉妬心を覚えました。


 そのまま、王はリフィーにお礼をいってリフィーの家を出ていきました。ですが、嫉妬に心を奪われた王様はそのまま帰る訳ではなく恐ろしい計画をたてていました。


 その計画とは、リフィーの想い人を探し出し、その人を事故に見せかけて殺します。傷心のリフィーを慰めて、あわよくばリフィーを妻にするという計画でした。


 王は、村の人にリフィーの想い人について情報を聞き出しました。勿論、村の人はそんな王を怪しがりましたが、王に逆らうわけにもいかずにリネアの名前を出してしまいました。


 そして王はリネアの名前と特徴を基にしてとうとうリネアに会うことが成功しました。王はリネアに上手いことをいって崖の方へと呼び出し、そのままリネアを崖に突き落としました。


 王は、リネアを落とした後に自分の剣で自分の体を傷付けて、村に戻ってすぐに一人の村人にこう話しかけました。


「大変だ!リネアが儂の事を崖から突き落とそうとして、リネアが崖から落ちて死んでしまった。」


 その村人はすぐにリフィーの元へと行き、ことの顛末を伝えました。すると、リフィーはリネアを失った悲しみで一杯になってしまいました。そのままリフィーはリネアの後追い、自決をしてしまいました。


 結局、その王はリフィーが死んだことを後に知り少しだけ悲しみ、嘆きましたが、それ以上に自分が殺してしまったことを知られてしまったときの恐怖を思い、なにもしないまま王宮へと戻ってしまいました。


 リフィーとリネアは死んでしまい、二人を殺した犯人である王は平然と生きている…そんな最悪な結末を迎えたこの物語ですが、実は続きがあります。


 この一部始終を見ていた神様が二人の事を不幸に思い、二人にもう一度人間としての生を与えてくださったのです。


 この物語は運命に逆行しながら結ばれて、恋に落ちる二人の男女の物語です。是非、お楽しみくださいませ。

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