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本編

あなたの脳を混乱させたくてたまらない一話読み切りシリーズ【五人少女シリーズ】です。


キャラはシリーズで共通しているため説明がされていませんが、ノリだけでなんとかなると思います。一応端的に。


真凛 幼馴染系宇宙美少女。パワーの規模が宇宙クラスで惑星破壊まで出来る

衣玖 超天才美少女。原理無視の開発なんて当たり前のオタクロリ

留音 脳筋運動美少女。こと戦闘において最強(フラグ)いろいろおっきい

西香 美少女だけど性格最悪。友達を作ろうと必死だけど絶対無理

あの子 描写されないほど神々しい、天使や女神的な美少女


もう少し詳しく!と思ったらシリーズ一覧からプロフィールページをどうぞ。読む価値はほとんど無いと思われますが……


また、本編作品として『まいにちニコニコ!日めくれ!五人少女!』もあります。

 いつも通りの五人の少女達。珍しく五人一緒に出かけて、その用事を済ませて合流して家に帰るところだった。


「それにしても真凛、やけに嬉しそうだけど何買ったんだよ?」


 留音がそう尋ねると、真凛はえへへへとニコニコしながらピンク色の買い物袋を大事そうに持って「帰るまで秘密ですっ」とキュッと袋を抱いた。


 衣玖はそれに対した興味もないようで、早く帰って今しがた購入したゲームをプレイしたいらしい。天才少女でゲーア二ヲタの彼女は購入特典の衣装DLCの特典コードをじっと見つめて暗記し、帰ったらインストールを待つまでの間に即入力をするつもりのようだ。留音も一緒に選んだゲームでそれなりに楽しみにしている。


 西香の方はといえばこの日も友達をつくるべく、顔が良く金を持っていそうな女性を選んで声をかけていたが一人も友達になってくれなかったと嘆いている。男性からのナンパはあったが求めるところではないのでそういうのは全て抹殺した。


 あの子は真凛と一緒に買物に付き合っていた事で腕を組まれていて、「やっと買えたもんね~♪」とニコニコ話す真凛に同じように笑ってうんうんと頷いている。


 そんなあの子は今狭い道幅で二人並んで通っていた。狭いとは言っても華奢な女の子二人が並んで後がつっかえるような幅ではなかったし、別に大した問題になるほどではなかった。だがその隣を四人の女子大生組が通ったことで、事態は急変の兆しを見せた。


「あ、すいません」


 女子大生(以下JD)の一人はあの子に肩が触れて小さく謝った、その時!


「あ、危ない!!!!!!!」


 真凛がぶつかった後のあの子をまるでトラックに轢かれる子供を助けるようなテンションで押し出し、あの子を一つ隣の次元へ退避させた。そして真凛が激怒したような口調でJD組に言う。


「あ、あなた達……どこの組のものかは知りませんがよくも……!よくもあの子に触れましたね!!おかげでわたしはッ!次元転送能力を身につけてしまったじゃありませんか!!!」


 こうしてまたよくわからない設定を増やしていく真凛に気づいた留音、衣玖、西香の三人が何事かとよってくると、すぐにあの子がいなくなったことに気づいたようだ。


「どうしたんだッ、真凛!あの子は……」


 説明を求める留音に、真凛は素直にこう話した。


「あの子は……この人達のせいで次元の彼方に押し出されてしまったんです!!!」


 まるで語弊しかない。


「なんだと!?っくぅ!なんて奴らだ……!」


 留音も燃えるような声音でそう言って闘志をみなぎらせている。


「あの、私達はなにもしてな……」


 JD組の一人、知的な雰囲気のJDが無罪を訴えているが、それが却って四人に熱を入れた。


「あの子をそんな目にあわせて反省していないなんて!許せないわ!こうなったら仕方ない!みんな、戦いよ!トラップカード発動!」


 衣玖がそう叫ぶとポケットから女児向けアニメのマジカルステッキじみた何かを取り出し、くるくると回して杖中央付近にあるスイッチをポチッと押した。辺りの光景がゆがみ始め、四人の少女達と四人のJD組を異空間に引きずり込んだ!


「い、衣玖さん、一体これはなんですの?!あなたまたミョーチキリンな発明をしていたんですのね!」


「ふふ、西香、ミョーチキリンとは言ってくれるわね。でも天才への褒め言葉として受け取っておくわ。そしてこの異空間は私の作り出した決闘用亜空フィールド……ここでならどれだけ暴れたって外界に干渉しない」


 異空間と言ってもよくある異次元表現のようなモヤのかかった場所などではなく、そこは草原でそこかしこに色とりどりの花が咲き、ちょっとした小川のせせらぎが聞こえるような穏やかな場所で、更には屋根付きの吹き抜けた休憩所まで用意されているおしゃれ空間だった。


 JD組はやんややんやと声を上げたが聞く耳もたない四人の少女達はそれぞれがファイティングポーズを取っている。JD組はドン引きした表情で「あの人達やばくない?」と話している。


「安心しなさい、頭脳凡俗のお姉さんたち。私達は曲がりなりにも美少女の象徴。だからあなた達の体を傷つけるようなことはしない。ただ深い深い深い反省をしてもらえればいいの。私達、いえ、人類の女神に対して自分たちが何をやったのかというね!」


 衣玖はビシッと人差し指を向けてそう言ったのだが、いつもより脳筋度合いを増した留音は一人駆け出した。


「うるせぇ!相手が女子大生でも構うもんかよ!あの子になんかしたんならあたしが全員ボッコボコにしてやる!!!」


「ま、待ってください留音さぁん!それじゃまるで三下の言うセリフですよぉっ!」


 留音の突進を止めようと声を掛ける真凛だったが留音は構わずにJD組に接近し、一番近くにいた知性的に見えるJDに本気のパンチを繰り出した。そんなの全くをもって正気じゃない話だ。だがその拳はJDのすんでのところで止められたかと思うと、留音は自分の力と全く同じ力で押し返されたのだ。


「おらおrぐああああああッ!!っく!一体なんだこの力はっ!!」


 戸惑う留音。JDたちは身を震わせて顔を守っていたが、一人で勝手に二十メートルくらい飛ばされていった留音に気づいて顔をあげる。


「そ、そんな!最強の格闘スキルを持つ留音さんが一方的に吹き飛ばされるなんてッ……あの方達、一体何者なんですの?!」


 西香が視線を移したそのJDたちはただただ怯え、そして戸惑いまくっている。比率で言えば3体7くらいで戸惑いが大きいが、自らぶっ飛んでいってゴロゴロ転がった上で微妙に良い顔(やるじゃねぇか的な顔)をしながらにわかに唇から血を流して拭う留音に若干の面白さもほんの少し覚えていた。


「そんな……まさか……」


 衣玖は唖然としてそのJD組を見た。超天才の衣玖は今どうして留音が弾き飛ばされたのかがすぐにわかったからだ。


「何か心当たりがあるんですかっ?衣玖さん!」


 真凛が急かすようにそう尋ねると、衣玖は声を震わせながら言った。


「あれは……あのオーラのような能力はきっと女子力(おんなのこちから)……!誤算だったわ!今度ばかりは相手が悪すぎる!!」


 今度も何も無いのだが、衣玖の浮かべた絶望をにじませた表情に西香も怯える気持ちを覚えた。


「お、女子力(おんなのこちから)……ですって?!それが留音さんをあんなに吹き飛ばしたというんですの!?」


「えぇそうよ。女子力と呼ばれるそれは、体得することで不可侵のオーラを身に纏う事ができる。それでいて女子力を身に着けた女子はそのオーラを変幻自在に変化させることで世界の大半の物事を掌握出来るとされている……!っく、私がいくら天才だからって、そんなアーバンレジェンドまで抑えてらんないわよ!まさかこんな身近にこれほど強大な女子力を身に着けた人間がいるなんて……!」


 見ればそのJDたちはものすごく可愛かった。今どき流行りのこう……なんて言ったらいいのか……なんかすごい可愛い服に、ポテッとした帽子をかぶってたりして、でそれとスカートで、ダボッとしたパンツルックみたいな子もいて……バッグとかもなんか人形が一つだけ、邪魔にならないように、でもアクセントとして主張するような感じでぶら下がってるし、肩とかもちょっと出して……でもあんまり出してなくて……なんかそういう感じだったのだ。なんかそういう感じだった。今どきのJDってこんな感じなんだなって感じの感じだったのである。


「でも、あたし達だって同じ女の子なんだ……対抗出来るはずだろ!……というわけで、行って来い西香!」


「な、なんでわたくしが?!そんな恐ろしい人たち相手に出来ませんわよ!」


 対応の雰囲気は完全に陰キャのそれである。


「だ、大丈夫よ西香、女子力は可愛さも関係あるって話もあるし……ほら、あなた普段から自分の事可愛い可愛いって言ってるでしょ、だからきっと……」


「そ、そうなのですか?となるとわたくし、ここでのエース?仕方ありませんわね……ではそちらも一人!前に出なさいな!正々堂々勝負ですわ!」


 女子大生たちは西香のエセお嬢様言葉によるほんの微かな女子力から生まれたパワーの顕在化から少しだけ風を感じつつ、迷いながら一番優しそうに見える子がおずおずと前へ歩み出た。


 そして西香は挑発でもするかのようにこう言った。


「ちょっとあなた、女子力(おんなのこちから)、高いんですの?」


「えっと、もしかして女子力(じょしりょく)……?」


「あ゛あ゛あああああーーー!!!」


 そのやり取りで西香は吹き飛ばされてしまった!ゴロゴロと転がりホコリまみれになってしまう西香。正しい女子力の言葉も知らずにいたことでその攻撃をもろに食らってしまったのだ。衣玖が怯えたようにこう言った。


「そ、そんな……ッ、"おんなのこちから"じゃなくて"じょしりょく"だったなんて……!っく!力の読み方をつい"オーラちから"に並べてしまう私のオタク脳のせいで……!悪かったわね、西香!」


「ぐぬぬ……それはそれとして、なんだか心に気持ちのいいダメージを受けました……!形容し難い、ちょっと幸せ気分になれるような感じの……!これが女子力というものなのですね!ちょっとそこのあなた!……わたくしと、お友達になるつもりはありませんか!」


 眼前で突然吹き飛んでホコリだらけになっている西香に言われ、その優しそうなJDは雰囲気に流されて少しだけ「別に構わないような気がする」という空気を漂わせてしまう。


 すると西香の表情がぱぁっと明るくなり腰の辺りから数十枚の紙を取り出した。


「そ、それでしたら!こちらのお友達誓約書にサインをくださいな!」


 ババっとふわふわ系JDの一人に近づいた西香が血走った目でサインを要求し、そのJDは困ったように後ろの友達を見ると、その中のサバサバクール系っぽいJDが「やめときな」という視線を送っている。


「あ、あの、すいません、また今度で……」


 ふわふわJDは謝りを笑顔で表現する。西香は勘違いした男のように鼻息をフンスと鳴らして「わかりましたわ!」と嬉しそうに引き下がりつつ次回までに書いておくようにと誓約書の束を手渡し、留音たちに結果は残したと言わんばかりの表情で満足気に戦いを終わらせた。その満足そうな態度に留音が怒りを持った。


「馬鹿野郎西香!あいつらはあの子に危害を加えたヤカラだぞ!何友達になろうとしてんだ!……いやあいつらにとってはそれがもしかして一番の攻撃(いやがらせ)になるってことか……?」


「留音さんが何を言っているのかはわかりませんが、その辺も安心してください。あのお友達誓約書にしっかりとその旨を書き記してあります。『わたくしが謝れと言ったらどんなに理不尽な理由であっても誠心誠意心をこめて謝罪すること』と。それでしたらあの子に対しても釣り合いが取れるというものですわ」


 西香の自信に満ちた言葉に一同は呆れて何も言えなかった。こうなればなんとしても勝たなければならない。それを考えた衣玖が立ち上がる。


「こうなったら仕方ない……私が出るしかなさそうね」


 一歩前へ出る天才少女、衣玖。小さくて可愛らしいが実際はパンクやメタルのライブに出向いてゾンビやスカルのメイクを決めてヘドバン決めまくる一面もあるオタク少女に対抗出来るものなのだろうか。


「が、がんばれ衣玖……大丈夫だ、ふっ飛ばされてもあたしが受け止めてやるから……」


「問題ないわ……相手は私のIQの兆分の1にも満たない人間なんだから……」


 とぼとぼ歩み出た衣玖に対し、先程のふわふわJDは交代の時間なのかわからなくてとりあえず下がり、続いてやたらきゃぴきゃぴした可愛い系のJDが歩み出た。さすがイケイケのJD方だ、説明不要なほど空気が読めている。


「やばいぞ……」


 相手を見て留音が呟く。


「衣玖の肩が強張ってる。まさか相手があれだけ渋谷可愛い女子とはな……衣玖はクリスマスやひな祭りより圧倒的にハロウィン派なんだ。しかもハロウィンの中でもガチ中のガチ、ダークハロウィン派だ」


「だ、ダークハロウィン……?」西香が答えを求めた。


「あぁ。渋谷で騒ぐようなイベント的なものではなく、本気で相手のSAN値を崩壊させる恐怖の暗黒ハロウィンのことさ。そんな衣玖にあんな渋谷可愛い雰囲気の人は相性が悪すぎる」


「よくわかりませんが、そうなのですね……っ」


 留音の懸念は案の定的中することとなる。対峙した二人で、先に口を開いたのはかわいい系JDだった。


「うわぁ……ちっこくて可愛ぃねー……」


「えっ?!あっ……どぅ、どぅも」


 それ見たことか!留音はもごもごと喋る衣玖を指さして真凛と西香にアピールしている。


「でもあのう、私達これから遊びに行く予定でね?元の場所に還してほしいんだけど……」


「あっ、す、すいません。でもあの、こっちとしては世界観的に譲っちゃいけなくて、あああの、それで、こ、こういう展開にならざるを得なかったっていうか……」


「ちょっとよくわかんないんだけど……?」


「しょ、勝負がつけば……」


「しょうぶ……?」


「あの……」


「えっ?」


「……」


「……?」


「……じゃ……」


「???」


 そのやり取りの後、衣玖は何事もなかったようにとぼとぼと自陣に戻ってきた。緊張が限界になって顔を赤面させながら言う。


「出来ることはやったわ。引き分けってところね」


「どの口が言ってんだ!?」


 相手の可愛い系JDも首を傾げ、はてなマークを顕現させそうなほど眉を寄せていた。衣玖は多大な披露に腰をついて「ふぅぅぅぅ……」と大きな息を吐くと、次は真凛の方を見た。


「……もしかして衣玖さん、その目はわたしに行けってアピールでしょうか……」


 疲労困憊の衣玖は無言で頷いた。


「えぇー……女子力かぁ……でもわたし家事とか好きですし、皆さんよりは戦えるかなぁ……」


 真凛は不安そうにそう言いつつみんなと同じように前へ出た。西香は普段なら聞き捨てならないと喚くところだろうが、お友達誓約書に不備は無いか確認するので手一杯らしい。


 相手方はもう「出なきゃダメなの?」というノリでトボトボ一人を前へ送り出している。最後に出てきたのはショートカットでボーイッシュな感じのクール系女子だった。向かい合う二人の決戦者たち。


「あのさ」


「はい?」


 最低限聞こえる程度の声でクールJDは言った。


「よくわかんないんだけど、謝ったら還してくれるの?今から謝ってもいい?」


 クールJDはとても面倒臭そうにそう言った。真凛はこの空間の作り主である衣玖を見やるがぐったりしていて真凛の視線に気づいていない。


「えっと、多分ダメだと思いますぅ……ぱぱっと勝負付けたら終わると思いますのでぇ……」


「はぁ……売り切れないといいんだけど……」


 どうやらそのJD組は何かを買う予定だったらしい。不安そうにしている。


「で……女子力って何すればいいの?可愛さ?だったらあたしの負けでいいんだけど」


 クール女子はやっぱり興が乗らないという感じでそう言うのだが、真凛は吹き飛ばされたりしない。とは言え4体4。もう留音も負けている判定だろうし、真凛が頑張らなくても負け確定の状況であったが、真凛はなんとなく女子力の背くらべにおいて後ろでうだうだやってる連中(自陣営のバカ共)には負けたくないなという心持ちがあった。


「どっちかが言ってもダメみたいですし、ちゃんと戦いましょう」


「そうなの?はぁ、あたしに女子力なんて言われてもな。後ろの連中のほうがよっぽど可愛いし……はぁ、恥ず……」


 クールJDのは後ろで応援し始めたJD友達をちらりと見て頬を赤らめている。その謙虚な気持ちが女子力の圧となって真凛を襲う……!


「っく……やりますね……」


 真凛は手に持っている買い物袋をバリアのようにしてその攻撃を防ぎ切る。


「お、おい見ろ、衣玖、西香……真凛のヤツ、花のJD組と互角に渡り合ってるぞ……!」


 お話にならなかった三人にはそう見えるらしい。


「それじゃあわたしも……攻撃に移らさせてもらいますっ」


 相手のクールJDは別に攻撃のつもりはなかったと不服そうな表情を浮かべている。


 そして真凛は買い物袋に手を突っ込む。そして中からゆっくりとした動作で何かを取り出していく。その動作はまるで聖剣を引き抜くかのように力強いもので、この場にいる全員に真凛が光を纏ったかのような錯覚を起こさせた。


「なんだ……?!真凛は何を取り出したんだ?!」


 留音が真凛が引き抜いた聖剣を見つめる。何か黒いつぶつぶがたくさん入った袋が見えた。


「あれは黒胡椒の実……!?いや違う!ダンゴムシの死体パッきゃあああああ!」


 分析中に突如吹き飛ぶ衣玖。


「そ、そんな馬鹿な事がありますか!いくら虫けらが死ぬ瞬間に可愛さを感じるなんて言ってるサイコパスの真凛さんでもそんな猟奇的なモノを買うわけ……仮にダンゴムシを買うとしても生きているものを買って死ぬ瞬間を楽あ゛あ゛あ゛あああーー!!!」


 分析を重ね、更に吹き飛んでいく西香。


「違う!あれはあたしが子供の頃に見たことがある、カエルの卵だ!カエルのたまうわああ!!!」


 衣玖、西香、留音は自分の発言で女子力を大きくマイナスしたことで解説役にすら回れない役立たずとして一人でにふっ飛ばされていった。答えは真凛の口から発表された。


「これは……タピオカです!!!!」


 その言葉と同時、真凛を中心に突風が巻き起こる!帽子やスカートを履いていたJD組はしっかり抑えている姿が女子力を生み出したことでその突風を打ち消したが、タピオカの放つ女子力圧はかなり高いものであった。


「へー!それ自分で買ったの?ってか買えるんだ!えーすっごー、もしかして自分で作るために?」


 だがクールJDは真凛の攻撃をもろともせず、目を光らせながらそう聞いてきた。真凛は戸惑いながら答える。


「は、はい。ダージリンも買っておいたのでミルクティにしたら甘みがまして美味しいかなと思って……」


「えーすごいすごい!自分で作れるんだ!えーめっちゃすごいじゃん!あたしたち実はお店にタピオカドリンク飲みに行くところだったんだよね!でもそこ人気でもう無くなってるかなぁと思ってさ」


「あっ、そうだったんですね……じゃ、じゃあうちに飲みに来ます……?味付け用にカラメルソースとかバニラとかも用意してて……」


「え!?いいの?!ねぇみんなどうする!?」


 JDはみんなで行きたーい!と声をあげる。真凛は汗をちょちょ切らせながら嬉しそうにしている。


「おい衣玖……なんだか思わぬ方向に事が進んでいるぞ……」


「まぁ、いいんじゃない、真凛が平和的解決を望むならそれで。また爆発オチは嫌だし……それよりタピオカって何?ルーがカエルの卵って言った瞬間からもうカエルの卵にしか見えないんだけど……」


 こうしてなんやかんやで亜空フィールドは解除された。現実では次元転送されたあの子を真凛がひょいと連れ戻すと、真凛とJD達は先に家に戻っていますねと言ってすたこら帰っていった。ちなみにあの子は現れた瞬間にJD達が「この子も一緒に!」と一緒に連れて、留音達を置き去りにして先に帰ってしまった。



 その夜。タピオカパーティをする真凛達から隠れるようにゲームをしていた衣玖と留音らはJD組が帰ったあとで家のリビングに集合した。ちなみに西香の方は絶望的に空気が読めないため普通に参加しており、喋りかけた全JDからもれなく苦笑いや嫌悪感を引き出している。


 真凛はかなり楽しそうで鼻歌をふんふん歌いながら後片付けをしている。みんなから大好評でお店ひらけるよ!なんて言葉にかなり上機嫌になっていた。


「ねぇ真凛。まだタピオカっていうのあるの?」


 部屋に籠もっている時にその存在について調べていた衣玖が訊ねた。その質問には西香が得意げに答える。


「あったはずですけど、大したもんじゃありませんわよ」


 真凛は西香に少しムスッとしつつ興味を持った衣玖の意思を汲んだ。


「飲みたいなら用意しますよ~♪」


「お願い。すごい人気みたいね、これ」


「マジ?……見た目、カエルの卵じゃん……美味しいの?」


「美味しいですよ~☆」


 留音のぶんも含めてミルクティとして用意した真凛が二人に振る舞う。飲んだ二人の感想は。


「……味気ないわね。食感ブヨブヨだし、味がジュワって染み出してくるわけでもないのね。なんで人気なの?」


「うわ、ニュメニュメでブチュブチュするのやっぱりカエルの卵っぽくてやだな。あたし、ナタデココのほうが好き」


 真凛はやっぱりこの家じゃ女子力なんて育たないんだろうな。そう思って大きなため息をつくのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


ところでこの前タピオカティーを飲んでみたんです。大体留音と同じ感想でしたが、ミルクティと黒糖味の何かが入っているというところの着眼点が飲み物として新しいと思いました。美味しく飲めたんですけど、ただ値段がネックですよね。自販機のナタデココドリンクみたいに気軽に飲めるようになったらもっと飲みたいなと思いました。


他のシリーズではタコと戦ったり、魔法少女になったりします。もしよろしければそちらも是非どうぞ。

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