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序章・その四
「わあっ臭い汚いやだーっ!」
「ええーっ⁉ 昨日ちゃんとお風呂入ったのにー⁉」
「……あれ? ここ、教室?」
たったいま仏法僧の甲板でババタレの糞を浴びたばかりのはず。
「戻ってきちゃったの……?」
「稲庭きゅん、ひょっとして寝てたー?」
「えっ? あ……うん、そう」
慌てて誤魔化す八尋は鍔黒作江の腕の中。
高部くんは心配そうな顔で見つめています。
「女子に抱かれて眠るとは、この果報者めー! しかも臭いだとー⁉ この罰当たり者めー!」
「うわちょっとやめてよ押しつけないでー!」
着痩せしていたのか、思ったよりフカフカしています。
「問答無用―! 乙女の体臭を思い知れー!」
「わひゃあっ⁉」
作江はババタレと違って、ちゃんと女の子の匂いがしました。