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第四章・ベッドの上でお勉強しよう(意味深)・その六
「醒州海軍がサメを追って交戦中です!」
霜降雀の艦橋で、玉網媛は待ってましたとばかりに椅子から立ち上がりました。
「わたくしたちも前進いたしましょう」
「媛様、まだ越境許可が下りていません! 攻撃されても文句はいえませんぞ!」
霜降雀の船長さんが抗議します。
「あのサメは生成りとはいえ、悪樓には違いありません。いまなら魔海対策局の職権で強行突入できます」
玉網媛は手間取る艦隊司令との交渉を、すっぱりと諦めました。
ヒラシュモクザメが暴れすぎたのです。
「急いで!」
「了解しました! 戦闘旗掲げー!」
後部信号楼の揚旗索に、軍艦旗ではなく魔海対策局の旗がスルスルと上って行きました。
魔海対策行動中を示す旗の掲揚は、何人たりとも手出し無用を意味します。
霜降雀の行動を阻む醒州艦の動きがピタリと止まりました。
「面舵十度! 機関全速! 本船はこれより醒州領空へと進入する!」




