表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つりみこ2 ~八尋・誘拐~  作者: 島風あさみ
13/49

第二章・浦入物・その一

 気がついたら水の中にいました。

「ぷはあっ!」

 八尋やひろが水面から顔を出すと、そこは見覚えのある八角形の部屋でした。

 旧式安宅船(らいん)玉髄ぎょくずい】の主砲塔跡に作られた、蕃神ばんしん召喚用の祭儀室。

 どうやらまた異世界召喚されたようです。

「おうっ! 八尋も無事にこれたみてぇだな!」

「わあっあゆむさん裸、裸っ!」

 目の前に全裸の金髪女子が仁王立ちしていました。

 八尋が慌てて後ろを向くと……。

「こっち見ないでください」

 全裸の小夜理さよりが肩まで水にかっていました。

 羞恥でほおが真っ赤に染まっています。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!」

 どっちに向いても裸の女子がいるので、八尋は両手で顔をおおってうつむきます。

「わたしもいるんだけどな~」

 小夜理の隣に風子ふっこもいましたが、こちらは年がら年中お風呂場に乱入する双子の姉なので、見慣れすぎてまったく気になりません。

「いいじゃねぇか、いまは八尋も女なんだし」

 歩が両手をワキワキさせながら八尋に詰め寄ります。

 目玉がグルグル回転して、セクハラする気満々でした。

「そういえば全員一緒に召喚されたのは初めてでしたね」

「そっか~、子象さん見れないんだっけ~」

 風子はなぜかションボリしています。

「いや、まだわかんねぇぞ。ちょいと確認してみよう」

「わあっやめてよ! ついてない! ついてないってば!」

 たちまち始まるセクハラ祭りに、八尋は必死に脱出を試みます無理でした。

 あったかくて柔らかい二つの生エアバッグが全身の力を奪います。

「……………………」

 ひかえていた巫女さんがススッと寄って金属製のお玉を差し出すと、その瞬間、小夜理の右手が空間から消失しました。

 必殺の一撃がワンフレームでり出されます。

 パカンッ!

「あいたっ!」

「毎回毎回、いい加減にしてください愚長ぐちょう!」

「ありがとう小夜理さん!」

 歩の拘束が解け、八尋は浴槽から飛び出して全裸も気にせず走ります。

 洗い場の巫女さんたちが湯帷子ゆかたびらを着せようと近づきますが、無視して脱衣場へと急ぎました。

 そして祭儀室の引き戸をガラリと開けると……。

「いらっしゃいませ八尋様。まずは湯帷子をどうぞ」

 玉網媛たまみひめ手薬煉てぐすねを引いて待ち構えていました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ