夢対決(4)ジザ対テルミン
レカンの結婚式での会話です。
「テルミンちゃんや。パルシモに、何本か鑑定できない恩寵剣があるんじゃよ」
「ほう」
「発動はさせられるけど制御のしかたがわからない魔法剣や、そもそもどうやったら恩寵を発動させられるのかわからない剣が、二十本ちょっと秘蔵されとる。パルシモ迷宮百三十階層より深い階層で出たものばかりじゃ。ちょこっとパルシモに来て鑑定してもらえんじゃろうか」
「最近まで六年間ツボルトに長期出張しておったからなあ。今は王都を出にくい。それを王都に持ってきてくれれば鑑定する」
「持ち出し禁止なんじゃよ。パルシモに来てもらわんといかん」
「ふん。私の〈鑑定〉をじっくり観察しようというわけか」
「ひょっ、ひょっ、ひょっ。もちろんさね。剣の鑑定については王国最高といわれるあんたが、最高度に難しい剣の鑑定をする様子を、ぜひ拝ませてもらいたいのさ。その代わり、パルシモ最高の鑑定師たちのわざもあんたにみせるよ。どうだい?」
「む」
「それにパルシモ魔法研究所にはね、古今東西の鑑定呪文やその効果についての記録と研究成果がある。みたくないかの?」
「むむ」
「パルシモには温泉もあるしねえ」
「むむむ」
「それと、これは大きい声じゃ言えないけど、パルシモには何人か〈浄化〉持ちがいる」
「なに」
「あんたが滞在しているあいだ、一日に一回〈浄化〉が受けられるよう、あたしが領主にかけあうよ。どうだい、テルミンちゃん」
「パルシモに行こう」
両者勝ち。




