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六話

「随分と大荷物だな·····」


 俺は優香の背負う荷物を見て、そう呟く。


「そう?」


「まあ、《無限収納》があるから良いけどな」


 俺はそう言い、優香の持っている荷物を《無限収納》の中に仕舞った。突然消えた荷物に優香がぎょっとした。まあ、そういう反応だよな、普通は。


 しかし、すぐに思い出した様に質問をしてきた。


「ねぇ、兄貴。旅をするって言っても計画あるの?」


 つまり、モンスターが湧き出す場所に心当たりはあるのか?ということだろう。勿論!


「無い!」


 はははっ!計画?そんなものは無い!ノープランさ!


「あのさ、分からないのに旅に出る意味あんの?」


 めちゃくちゃ蔑んだ目で見てくる優香。や、やめろぉ。俺のことを可哀想な人を見る目で見るのはやめろぉ!


「まあ、分からないことを調べる為の旅だからな。流石にさっきのは不意を突かれて、ゲートの特定までは出来なかった。だから、次にモンスターが出てきた時に、高速で逆探知する」


 俺が一人で行ってもいいが、その時にこの家の真上にゲートでも出てしまえばおしまいだ。言っておこう、シスコンでは無い!


「魔力の流れを辿ればゲートが次に開く場所なら分かるさ。多分·····」


「確信ないんだ·····」


「ああ。何にせよ、わからないことが多すぎる」


 その言葉に、少し不安な表情を見せる優香。そんな優香の頭を手でわしわし撫でてやる。


「大丈夫だ。俺が転移してた世界と世界が同じなら、俺が最強だから」


 最強なのは本当だが、少し格好つけ過ぎた······。普通に恥ずい。


「守ってくれなかったら、私のお願い何でも聞いてもらうから」


「·····できる範囲でしてやるよ」


 俺がそう返すと、優香は嬉しそうに微笑んだ。


 俺は《無限収納》からローブとダガーを取り出し、優香に手渡す。受け取った本人は頭の上に?を浮かべ首を傾げている。


「装備だよ。戦闘中は助けられないこともあるかもしれないしな。後は雑魚敵を倒してもらう為だ」


 これから、ずっと守ってあげれるわけじゃ無い。もし、本当にやばいレベルの事が起きた時、最低でもジョブを得ておいて欲しい、と言うのが俺の気持ちだ。


 その言葉に優香はコクリと頷くと、いそいそとローブを着だした。


「·····これ、ちょっとだけ丈が長い」


「ん?ああ、俺がアゼル倒した時に着てたやつだから、そうなるか。·····ちょっとまってろ」


「ん」


 俺は屈むと床に触れている裾を手に取る。そして、短剣で丁度の長さになる様に切った。


「これで、大丈夫か?」


「ん。問題無い」


「よし、じゃあ行くぞ!」


 俺は優香を抱え、自分の部屋の窓から《来翔》で夜空を駆ける。


「うっひょー。すっげぇ眺め!」


「綺麗·····」


 俺は俺の存在と優香の存在を《隠蔽》しながら夜景を楽しんだ。異世界とは別の綺麗さがある。


「それにしても魔力が多すぎるんじゃないか?」


「人がいっぱいいるからじゃ無くて?」


「確かに異世界は人が圧倒的に此処より少ないが、それを考慮しても、空気に充満している魔力が多すぎる。明らかに、異常だ」


 魔力とは、生きているものが常に体から発生する物で、魔法を使う為に必要な者だ。ごく稀に魔力を持たない者もいるが、大概の生物は魔力を持っている。犬でさえも魔力を持っていた。


 つまり魔力とは、生きているものがいる限り永遠に空気中にあるものなのだ。そして、個人が空気中に放出する魔力は、そのものの魔力量に比例する。


 つまり、こちらの世界より、向こうの異世界の方が空気中の魔力は多いはずなのだ。個人の持っている魔力が向こうの方がダントツ多いのだから当然だ。


 それにも関わらず、向こうの方が多い。それはすなわち、なにか良くないことが起ころうとしている証なのだ。


「予想以上にやばいかもしれないな·····」


 長い思考から帰ってきた俺に、優香はふと聞いてきた。


「所で今日はどこで寝るの?」


「?そこの山の中に決まってるだろ?」


「テントとか?」


「違う」


「·····まさか、何もなしで寝るの?」


 何処に、テントも何もなしで旅に出る奴がいるんだよ!そう心の中で突っ込んだ。


「うーん。ヒント」


「別にクイズでもないんだけどな·····。まあ、ヒントとしては俺のいた場所だな」


「異世界?」


「その通りだ。しかも、剣と魔法のな?」


 これで俺の言いたいことはわかっただろう。


 魔法があるということは、魔道具もあるということ!つまり、ドラゴンな玉の世界の用に·····


「家を建てるの?」


「正解!!!」


 まあ、なんちゃってホイ○イカプ○ルだ。


 俺は近くの山に降り立つと、優香を下ろし、森の奥に進んでいく。


 そして、奥の方で木々を軽く切り倒す。そして、《無限収納》から【携帯用自宅〜普通のお家バージョン〜】を取り出す。このふざけた名前は俺が付けたのではない。断じて無い!無いよ?無いからね?


 若干、シルバ○ニアフ○ミリー感のある家を地面に置くと、優香を少し後ろに下げる。


 そして、【携帯用自宅〜普通のお家バージョン~】に魔力を流す。すると、


「うわぁ」


 なんということでしょう!あんなにも小さかったお家が何と一軒家位の大きさになったではありませんか!


 とりあえず《隠蔽》を使うと、優香を連れて家の中に入った。


「·····すっごい普通」


「まあ、改造してないからな」


 優香の言葉に少しショックを受けつつも、案内をする。


 いいと思うんだけどなぁ。


「一応、部屋はあるが、一人で寝るか?不安ならお兄ちゃんが一緒に寝てやるぞ?」


 少し煽って見る。まあ、「何言ってんの?」って、真顔で返されて終わりだろうけど。


「ん。じゃあ一緒にリビングで寝よ?」


「ははは、冗談だよ·····。ん?ちょっと待て。今一緒に寝るって?」


「言った」


 言われましたね、はい。ちょっと待て!


「·····いいのか?」


「ん。まだ、ちょっと怖いし·····」


 まあ、ドラゴンに喰われそうになったしな。そりゃ、当然か·····。


「じゃあ、取り敢えず風呂に入って来い」


「·····水道通ってるの?」


「嬢ちゃんそれを聞くのは野暮ってモンさ·····」


 そんな事を一々気にしていても仕方ない。そう、これは異世界の魔道具だ。つまり、難しいことを考えてはいけないということだ。


「うん。じゃあ入ってくる。·····覗かないでね?」


「·····分かった」


 優香はその後、俺をジト目で見詰めた。そして、しばらくすると風呂に入りに行った。覗いてないよ?


流石に妹の風呂覗くほど堕ちちゃいないんだ。


 優香が風呂から上がると、俺も風呂に入った。そしてその後、食事をして寝た。

 

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