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三話

「入るぞー」


 俺は、生徒会長室の扉をノックすると中にいるであろう友人に声をかける。しばらく待っていると扉が開いた。


「どうしたんだい?」


「お昼食べたいから入れて」


「ああ、そういう事か。入りなよ」


 俺は、扉を開けた生徒会長の花宮 美鈴に促され部屋の中に入った。そして、座り心地の良いソファーに腰を下ろした。


「今日は何で教室で食べないんだい?」


「教室内がうるさいから」


「そこは、会いたかったから来たとか言ってくれればいいのに····」


「何て?」


 小声すぎて何を言ってるのか分からなかったけど、俺に対して何かを言っていたのは確かだ。


「何でも無い」


「何でも無くは無いだろ?」


「何でも無いって言っているでしょ!」


 怒られました···。何か怒らせる様なことしたかな俺。俺は、これ以上怒らせないように、黙々とパンを食べ始める。


「昼飯食べないのか?」


「もう食べた」


「早いな····」


 俺は、早々と昼飯を食べ終えるとソファーで昼寝を始めた。




「はぁ」


 私は一人溜息をついた。全く、彼の鈍感さにはイライラしてくる。私はソファーで気持ちよさそうに寝ている彼、新堂君の傍に近寄った。気持ちよさそうに寝ている彼の姿は何だか可愛い。思わず、頬をつついてしまう。


「うう、ん」


 寝返りをうち、ソファーの方に顔を埋めてしまった。そんな彼を見ていると、思わず顔が緩んでしまう。


「本当に私って単純だなぁ」


 彼が部屋に来てくれるだけで喜んでいる私がいる。まあ、私目的じゃないってことを知って不機嫌になったのも事実なんだけど····。それでも、一緒にいられるだけで本当に嬉しい。ただご飯を食べ、寝に来ただけなのにそれで喜ぶ私って、


「単純だなぁ·····」


 私は溜息をつき、彼の寝ている姿をじっと見つめた。




 うーん、よく寝た!やはり、机で寝るのとソファーで寝るのとでは全然違うな!まあ、怒らせちゃったからしばらくは行くのを控えよう。


 俺は、そんなことを考えながら教室で眠りについた。


「ふあ〜。よく寝た~」


「もう放課後だぞ」


 俺の横には、相も変わらず女に囲まれている親友の姿があった。


「じゃあ、帰るか·····」


「ああ、一緒に帰ろう」


 俺は、そんなことを言う親友の左右に目をやる。めちゃくちゃ睨まれてる。俺は、溜息をつくと


「悪い。今日は一人で帰る」


 そう言うと俺は、そそくさと教室を出た。


 それにしても、久しぶりの学校だったな。特にいつもと変わらず過ごしてたけど、俺、本当に異世界に行ってたのかな~、と思ってしまう。俺は空を見上げながら歩いていると、空に浮かぶ()()を見つけた。


「何だあれ?」


 俺は、《遠視》を使い空を飛ぶ物体を見る。俺は、()()を見た瞬間、頭が真っ白になった。


「何で、ここに、()()がいるんだよ·····」


 そう、その物体の正体は·····ドラゴンだった。そう、あっちの世界では中々強い方の魔物に分類される、異世界お馴染みのテンプレ魔物、ドラゴンだ。


「不味いぞ!」


 俺は、市街地の方に飛んでいくドラゴンを見て思わず叫んだ。


「くっそ!フラグ女神が!一生恨んでやる!」


 俺は、《無限収納》から双剣と賢者のローブ、虚偽の仮面を取り出し、すぐさま装着する。頼む間に合ってくれ·····。俺は、全速力で駆け出した。



「ギャオオオオオオ!!!」


 市街地に降り立ちとんでもない咆哮を放つドラゴン。突如現れた怪物に人々は逃げ惑った。しかし、みすみすと餌を逃がす訳がない。踏み潰される者。喰われる者。焼かれる者。


 人々は次々に蹂躙されていった。そんな中最後に残ったのは逃げ遅れた拓人の妹優香だった。彼女は徐々に近付いてくる”死”に対し恐怖で動けなかった。


(怖い怖い怖い!誰か助けて!)


 恐怖で動けないながらも、逃げるため必死に立ち上がろうとする。しかし、体は動かない。近づいてくるドラゴン。そして、前足を振り上げる。私は反射的に目を瞑った。


 しかし、いつになっても、私に爪は振り下ろされない。恐る恐る目を開けると、そこには振り上げた腕を吹き飛ばされたドラゴンがいた。


 呆然とするドラゴン。しかし、次の瞬間ドラゴンのもう片方の前足が吹き飛んだ。突如飛んできた、水の刃によってだ。飛んできた方向を見ると、そこには黒のローブに仮面を被った男の姿があった。


「ギャオオオオオオオオオオオオオ!!!」


 突貫するドラゴンに対し、彼は


「死ね」

 

 一言だけ言葉を放った。次の瞬間無数の氷の槍がドラゴンを襲った。しかし、私はドラゴンが倒されたことより驚いたことがあった。その倒した人物の声に聞き覚えがあったからだ。


「·····お兄ちゃん?」


 その言葉に彼は少しビクッとした。


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