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ジルの決意






「ごめんなさい…彼女の意志が、あまりにも強くて…」


「………そんな気は、していたんだ」


彼女を逃がすようにきつく言われていたフェルツは、瞳に涙を滲ませるジルに声をかけた。ジルが捕縛されてから、楓を広場から離れさせようと言葉を交わしたが、彼女は自分の身よりもジルのことを何よりも心配していた。


正直なところ、ジルにはすでにわかっていたことだった、数日前に旅をするのも疲れたと、力なく笑った楓が【終わり】を望んでいることは。


「このままいけば、カエデさんはすぐにでも処刑されてしまいます」


竜王は戦争が終結した目に見える証として、“暗黒の魔女”を処刑するだろう。人間の国の王族たちはすでにジルが番の仇として殺害し、その亡骸も崩れゆく城に埋もれてしまった。戦争が終わった実感のない国民たちを、暗黒の魔女の死を以て納得させるつもりなのだ。


「そんなことはさせない!!」


楓が同胞を数えきれないほど殺してきたのは事実だ。だが、情状酌量の余地はあるはずなのだ。真っ当な王ならば、魔女側の状況も鑑みるはずだ。だが、今の竜王にそれを望むことはできなかった。


「処刑などさせない…」


彼女が生きていてくれるのなら、この国を滅ぼすことも厭わない。――あの人間の国と同じように。邪竜と罵られようと、国喰いと恐れられようと構わない。


「…絶対に、助け出す、どんなことをしてでも」


ジルの強いそのまなざしに、もう止めることは叶わないと悟ったフェルツは、もう何かを言う気はないようだった。


「私は番のために、国を裏切ってもいいんだ。お前はもう…これ以上私たちに関わるな」


背中を向けて去ろうとしたジルへ、フェルツはふっと笑って小走りに駆け寄った。今更自分を突き放そうだなんて、甘いのだ彼は。


「ご冗談を!僕も一緒に行きます。あなたの番を、守らせてください」









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