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奇妙な魔法少女たち  作者: みずゆめ
7/22

間話その1 確認作業

 魔法少女デビューを果たした日、帰宅した俺は真っ先に脱衣所の鏡の前に立った。

 うちは俺含め4人家族だが、両親は海外出張でめったに帰ってこず、姉も出張で一週間に一度しか帰ってこない。

 ほとんど一人暮らしの状態だ。つまりやりたい放題だ。


 まずは自分の変身後の姿を確認しよう。

 

 髪色は明るい青で、長さは肩甲骨くらいまである。所々ハネっ毛だ。

 前髪を少しだけハート型のヘアピンでまとめて留めている。

 大きめのリボンが後頭部に飾られていて華やかだ。

 顔は……目つきが悪いな……。いや、鋭くて格好いいと言うことにしよう。可愛らしいリボンとギャップを感じてしまうが……。


 ふむ……。やはり元々の、男である自分を基準に変身しているようだ。

 俺は少々ハネっ毛だし、目つきも悪い。髪色はもっと暗めだが。

 どうせ変身するならサラサラの髪でくりっとした目が良かったが、概ね満足している。


 だが全てが男の時を基準にしたわけではないようで、背は結構低くなっていて、男の時は170cmくらいだったが、今は150cmあるかどうかだ。

 

「そういや声も高くなったんだっけ。あー、あー」


 声帯にも変化があったようで、女の子らしい声になっている。

 変身当初は自分の声だとは思えなかったが、今ではすっかり馴染んだ。

 可愛らしい声をしている。歌を歌った動画を投稿してみようか……いや、俺は音痴だった。やめよう。


 それと服装だが、これまた魔法少女らしいもので、髪の色と似たような青色を基調としたものだ。

 至る所にリボンやフリルがついていて可愛らしい。

 レイのものとはデザインは違うが、雰囲気は似ている。まあレイがイメージしたものが反映されたらしいから当然か。


 さて、そろそろメインディッシュにいこうか。

 変身した姿の特筆すべき所は、やはりこの胸部にある2つのマシュマロだろう。

 小さな体に不釣合いな大きさだ。

 手で持ち上げてみるとずっしりとしているが、感触は柔らかい。うひょう。


 …………。


 よーし! 脱ぐぞお!

 自宅にいるわけだし、脱いでも何も不自然ではないな!

 それに汗かいたしな! 風呂入らないとな!

 ていうか自分の体なわけだしな! 遠慮するこたない!


 いそいそとスカートを外し、パンツを脱ごうとした所で重大な事を思い出した。


 そうだった……お前も居たんだったな……マイサンよ……。


 魔法変身は完全に女体化したわけではなく、”一部”が男のままになっている。

 改めて確認しても、やはりついているようだ。

 軽くソレを触ってみるも、十数年共に生きてきた相棒の感覚があった。……本物だ。


 となると、問題が発生する。

 今の自分が脱いだら、マシュマロとマイサンのツーショットが見えてしまう。

 俺が女性の体に興奮すれば間違いなくマイサンは元気に起立するだろう。

 山の間に塔――そんな光景は見たくない。


 いや、マイサンは嫌いじゃない。相棒だしな。

 だが、俺は、マシュマロ、いや、女性の体、だけを、堪能、したいんだ……!

 

 ――そうだ、魔法。魔法道具で消すことは出来ないだろうか。

 魔法に関する記憶を消したり、戦闘による被害から守る結界を貼れたり出来るのだ。

 もしかしたら魔法少女変身とは別の、変身アイテムもあるかもしれない。


 ……レイに聞いてみよう。


 俺は早速、レイから教えてもらったSNSアプリの連絡先にメッセージを送った。

 内容はもちろん、完全な女の子に変身できるようなアイテムはないかという旨だ。


 そういえば肉親以外の女の子とこういうやり取りをするのは初めてだな……。

 それなのにこんな内容でいいのか……。いや、でも俺にとっては重要な事だしな……。っと、来たか。


 1分も経たない内に返信がきた。

 メッセージを確認すると、ハサミの画像が添付されていた。怖い。


 どうやらレイは機嫌が悪そうだ。後日改めて相談してみよう。

 

 ……仕方ない。女体で風呂に入るのはまた今度だ。

 どうせなら完璧な状態で入りたいしな。楽しみは後に取っておく。

 もし変身できるアイテムが手に入ったら、その時は全力でハッスルしよう。


 そう結論付けて、変身を解除した。

 鏡には見慣れた男の姿が映っている。


 なんだかんだ言っても、こっちのほうが落ち着くな……。

 肩もこりそうにないし。髪が長いと手入れ大変そうだしな。

 

 そんな事を思いながら、制服のボタンを外そうとし……。

 ……制服?

 そういや、姉ちゃんってうちの学校の卒業生だったよな……。

 たまに制服着て「まだまだ高校生で通じるわねえ」なんて言ってくるし。


 ――無駄に思考が加速する。

 先程、変身後の状態でもスカートを脱げたということは、あの服は着脱可能ということだ。

 つまり、他の服を着ることも可能。

 着替える際に裸になってしまうが、下着をつけたままなら何とかマイサンの起立は中腰くらいに抑えられるだろう。山の間に塔は見えないはずだ。

 

 風呂で裸を見ることだけが女体を堪能することではない。

 男では着られない服を着ることも楽しみの一つだ。……男でも着ようと思えば着られるが。

 だが女装とは違った趣があるだろう。


 そうだ。女の子の姿で女の子の服を着て、町を練り歩こう。

 まずは姉ちゃんの制服を借りて、明日にでも校内をうろついてみようか。

 さすがに授業に出るのはまずそうだから、人気がなくなった放課後がベストだろう。


 明日が楽しみだぜ。うぇっへっへ。


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