04
『おれは夜空の方が好き。好きなだけ見上げることができるからさ』
煌めく星を目に映す。
『それに、おれに青空は必要ないんだ』
『どうして?』
『ソランがいるから』
「あなたの瞳は空のようね」と、いつか母に言われた。
青というには淡く、水色というには濃い色味。あれ?どうしてそんな話になったのだっけ。
「ソラン、いつまでそこにいるんだ?」
夜のバルコニーは冷える。気づけば指先が冷たくなっていた。
「おれ、もう寝るぞ」
「うん、おやすみ」
「おやすみ。ソランも早く寝ろよ」
ルームメイトの友人は肩をすくませ、ベッドへ向かう。その背中へ思わず呼びかけた。
「あのさ、よく一緒にいたやつ、もう一人いたよな?」
「…誰の話だ?」
彼はいぶかしんで眉根を寄せた。
「からかってるのか?」
「ちがう。そんな人がいた気がして」
「ソラン、疲れてるんだよ。ほんと、早く寝ろよ」
最後には心配そうな顔をされる。
ソランは最後にもう一度星空を見上げ、バルコニーを後にした。
夢うつつに船を漕ぐ。
寒い夜は一緒に布団に入り、お互いの体温で暖める
この年になって一緒に寝るなんて変だろうか。いや…周りなんてどうでもいい。二人だけの世界には。
『お墓もソランと入りたいな』
『、…そんなこと言うなよ。縁起でもない』
クスクス笑う声。
『わりと本気で考えてるんだけど』
冗談じゃない。
ああしかし、その時が来たら、それも良いなと思った。
ずっとずっといつまでも 一緒…