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終わりなき青  作者: ふゆしろ
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 リュークは口を開きかけ、閉じる。

 短く息を吐き、ようやく言葉を紡いだ。


「カインはもう、どこにもいない」


 空色の瞳が零れんばかりに開かれた。


「うそだ」


 いや、わかってた。認めたくなかっただけだ。体が震える。気を抜いたら発狂しそうだった。


「…カインは、もうわずかしか生きられないとわかっていた。だから最後に、全ての力を使って術をかけたんだ」


 世界から、人々の記憶から、己の痕跡を消した。


「…な、で…」


 ああそれは、ソランが生きるため…。


 リュークはもう、口を開けばため息を吐いてしまう。


「あいつは腹黒だって言ったろ?これはおれに対する壮大な嫌がらせだ」



 術をかける前、カインは一人、リュークの元へやって来た。



「おれはもうすぐこの世界からいなくなる。全ての力を使って、おれが生きた痕跡を消すよ」


 王族は特に強い力を秘めている。

 その目を見たら、戯言ではないとわかった。


「なんでそんなことをする?ギリギリまで生きて、ソランの側にいてやれよ」


 するとカインは笑みを浮かべた。


「リューク、おれが死んだらソランも死ぬよ。それでいいのか?」


 リュークは息をのむ。ソランならあり得ると思ってしまった。


「おれは構わないけど、きみは違うだろう」


「…ソランがおまえの後を追って死なないように、痕跡を消すのか?」


 カインは笑みを深める。


「おれの魔法も完璧じゃない。ソランの想いがおれの力を上回れば、きっと思い出してしまう」


 思い出したら、ソランはやはり後を追うだろう。


「ソランは思い出すよ。精々がんばって思い止まらせるんだな」


 もしかして、ソランがリュークを深く愛せば、カインがいなくても生きようと思うかもしれない。


「きみの記憶だけは弄らないでおく」


 ソランがどちらを選ぶか楽しみだ



 未来を確信したような笑みを残し、カインは消えた。

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