-Endlessness-
衝動的に思いつき、ガッと書いた短いお話。
ゆめのような雰囲気で展開します。
窓際の席で教科書を鞄に仕舞っていた。
艶やかな黒髪。空色の瞳。眉目秀麗で細身。身長は平均より少し高い。
そんなソランはクラスの級長だ。飾らない性格で、皆から慕われている。
「ソラン、リュークが来たぞ」
ドアの方へ目をやると、リュークが軽く手を上げ微笑んだ。胸が高鳴る。
「なになに?デート?」
「ちがう!テスト勉強を一緒にやるんだ」
リュークは要領がいいので、テスト勉強のときは心強い味方だった。
「はいはい、ごゆっくり~」
ソランは囃し立てるクラスメイトをキッと睨みつけ、鞄を掴んでリュークの元へゆく。
「あいつら、ヘンに勘違いして…」
ムスッと眉根を寄せた。リュークがふっと笑む。
「おれは構わないけど?」
「え…」
思わず顔を見上げれば、柔らかな緑の瞳が煌めいた。
縮む距離。
重なる。
緑の中で触れた唇
ああ、二人きりの木漏れ日の中、よくこうして唇を合わせていた。
両親を見て、真似をしたのが始まり。胸が温かくて嬉しくなるから好きだった。
「好きだぜ」
囁かれ、ハッとした。言葉を理解した瞬間、顔が熱くなる。
「おれは…」
「昼間っから熱いな~きみたち」
いつの間にか隣にいた友人。にししっと笑われ、そっぽを向いた。
気づけばあちこちから視線を感じる。
「…リューク、早く行こう」
逃げるように廊下を急いだ。
階段を降り、開け放たれた扉から外へ。日の光に目が眩む。
「ぅわっまぶしっ」
『ソランの目は光に弱いんだから、気をつけなきゃダメだろ?』
『うん…でも同じだろ?なんで平気なんだ?』
『光に出る前に目を瞑るんだ。それからゆっくり開ければ、少しは平気』
「そっか、また忘れてた」
「なんだ?忘れ物か?」
ソランは首を振る。ふと目に入った木に鳥が留まっていた。
「ん?」
視線を追ってリュークもそちらを向く。
「ああ、駒鳥か…」
しかし、すぐにソランへ目を戻した。
「で?何を忘れたんだ?」
「…忘れ物なんてないけど?」
ソランは目を瞬いた。