備えあれば憂いなし
あちこちから煙が出ている。乗り捨てられた車は無残にも壊れていて、時たまうろついている人影はまるで自我がないかのようにふらついている。 そこで俺の意識は途切れてしまった。
「はっ....! 夢...............じゃないのかよ。」
目を覚ましたら元どおりの街が一望出来るかと淡い期待を抱いてはいたがあっけなく崩れ去った。だが呆然としている場合じゃない!
「えっとまずは.......マンションの出口!」
俺が住んでいるマンションは出口が一つしかなく他は高いフェンスで囲まれている。つまりそこさえ防げばまず入ってこれない、逆に考えると入ってこられた場合アウトだ。
階段を降り、そっと出口を見るとしっかりと鍵はしまっていた。しかしそれでは不十分だ。俺はマンションの管理室に行きさらに厳重に鍵をかけ、開けられないようにした。
「次は......えっと食料か。」
このマンションには非常用の食料や飲み水や毛布などが置いてある部屋が存在する。まさか役に立つとは......備えあれば憂いなしとはよく言ったものだ。 賞味期限とかが気ががりだけど。
非常部屋に入るとぎっしりと詰まった非常食や飲み水、毛布がおいてある。賞味期限もまだまだ大丈夫そうだな。
「とりあえず全部運んでおくか。極力降りたくないし。」
さっきは確認していなかったがどうやらエレベーターも機能してあるようだ。
「...............疲れた。」
エレベーターで運ぶだけとはいえ量が量だった。気づけば夕方だ。けどこれでしばらく立てこもることが出来る。
部屋に戻りテレビをつけるとそこには目を覆いたくなる光景が広がっていた。まさしくゾンビと言わんばかりの群れが警察に押し寄せている映像。人が食われている映像。どの局も阿鼻叫喚の映像を流していた。そんな光景を見ながら冷静に考えていた。自分でもここまで冷静でいられるのは何故なのか。一度気絶したからなのかそれとも今の惨状を現実として受け止めれないのか。
どちらにせよ迅速に行動しないといけない。だが早計な行動はアウト、適切な行動をしないと死ぬ......いやゾンビになると言った方がいいのかな? まず自分ができること......
「カメラで常に出口を監視、下の階にバリケードを作る、仮に入ってきたときの脱出方法を考えおく。」
今の自分が直ぐにやらねばならぬことが出来た。
そこからの自分は素早かった。出口の監視はパソコンを使って二十四時間監視、バリケードは地下の部屋から木材を持ってきて簡易バリケードを作り、脱出方法は.........名前は忘れたけど何かあったはず.......。