Road7 商人と畑
「まさかここでもフューリが役に立つとは…すごいなお前。」
俺は今北側で生産を行っている。さっきのゴブリンとの戦闘はマジで疲れたし、新しい素材もそこそこ手に入ったからちょうどよかったかもしれない。
それでいろいろ試したりしていたんだが途中でフューリが勝手に出てきた。結構驚いたけどな。勝手に出てきたと思ったら作ってそのままにしておいたポーションとか調合中のものの周りをヒラヒラ飛んでいた。
よく見たら羽から鱗粉のようなものがキラキラ光りながら降り注いでいた。フューリはしばらくするとその辺にとまって休んでいた。
ポーションを一つ取って見ると表記が変わっていた、
ポーション+10:とても質の良いポーション。
効果:HPを20%回復する。
種別;消耗品
このポーション、元はプラス七だったのだ。これまでプラス五までしか出来なかったのだが、青の花の蜜を加えることでプラス十になった。けれどこれ以上上げることはできなかったんだが…。
他のものも全てのものではないが一部は効果が変化していた。
「それじゃ町に戻りますか。」
町に戻り、前にも通った商店が多い通りに来た。前よりも品ぞろえが増えた気がするが多くがアクセサリーや武器、防具ばかりでポーションを売っているところがあまりない。あったとしてもNPCのよりも値段が高い。効果は同じなのにな。
「そこの人、ちょっと見ていかない? 見るだけでもいいからさ。」
声のした方を振り向くと黒いノースリーブのコートを着た女性が手招きしていた。周囲を見ても気にしている人がいないかった。
「俺?」
「そう君。何か探してそうだったからさ。声かけてみたんだけど。」
別い何かを探しているわけでもなかったので女性のとこへ行ってみる。売っているのは布などの軽装備やリング、ネックレスなどのステータスを少し上げるアクセサリーが多かった。
「あなたは裁縫か細工やってるんですか?」
「私は裁縫ね。他のは友達のものね。委託で売っているの。あと別に敬語じゃなくていいわよ。」
「そう言われてもですね。」
彼女はルルさんといい、しかもベータテスターらしい。彼女自身は裁縫スキルで服を作っており、友達と共に店を開く予定らしい。既に店舗はあるがまだ準備中らしい。
少し話した後俺は話を切り出した。
「じゃあこれ売れると思います?」
俺が出したのは作ったポーションの中で一番効果が高いプラス十の奴だ。別に俺自身店を出そうとは思っていないが作ったものを売って少しは稼ぎたいと思っているので聞いてみたかった。
「…ちょっと待って。これ…。」
ルルさんは俺のポーションを見て神妙な顔をしている。どうしたんだろうか。
「どうしました?」
「トキ君これどうやって作ったの?」
どうって、調合のスキル使って普通に作っただけだがなぁ。フューリの力添えはあるが。
「この序盤でこの効果のポーション作った人見たことないんだけど。普通は15%なんだけど…。」
ルルさんが言うにはポーションは15%までのしか見たことないそうだ。俺何かやっちゃった気配があるな。
「これ確かに売れるけど売るなら私の所で売ってくれないかしら?」
「ん~まぁ別のいいですけど。」
疑問は残るが物を売る際のゴタゴタは俺は知らんし分からんので任せることにした。ちなみに他の魔力回復増進薬などの回復系アイテムも買ってくれた。一気に所持金四万超えたんだが俺の作ったのそんなに良かったのか?
懐に少し余裕が出たので初級工芸セットとノコギリや金槌なんかが入った工具箱の初級の一個上のランクのものなどを買った。占めて12000G。現在の所持金は29250Gになった。
「おう兄ちゃん、どうした?」
俺はまた北側へ行き、農夫のじいさんに会っていた。
「じいさん、畑って買えるか
「おう、買えるぞ。俺に買いたい土地の場所と広さを指定して金をくれればあとは俺が何とかするぞ。」
じいさんにそう言うと俺の目の前にウィンドウが現れた。これで買いたい土地の場所と範囲を指定できるらしい。まあ俺の買いたい場所は決まっているのでさっさと指定する。
「この場所とこの広さか。なら15000Gだな。」
「えっ、マジか。」
「あの辺はまだ土地がかろうじて生きているからな。育てるものも育てやすいだろう。ちなみにこれでも相場より安い方だぞ。」
俺はその場所を気に入ってしまったのでしぶしぶ買いました。所持金結局14250Gだ。最初よりましだからいいか。
「その辺は何だっけな。確か誰かが以前持っていたとこだったがあまり人を見なかったな。じゃあなぜ買ったんだろうな。」
去り際にそんなセリフを残していったが気にせず買った土地へ向かった。
「さて着いたがやはりこの小屋は気になるな。」
俺が買った場所は林の近くの土地だ。そしてその林の入り口付近に少し古びた小屋がある。ここは最初に街の北側を訪れて散策していた時に見つけたものだ。そしてこの小屋は開かない。
なぜか。
それは現在も売られている小屋だからだ。
そして俺はこの小屋を買おうと思っている。
この場所は少し丘になっており、小屋の方から見るとそこからは広い景色が見える。俺はこれが気に入った。だから土地をここに買った。
「売値は10万G。他のと比べるとかなり安めだな。」
自分のマイホームを持つ方法は二つ。一つは土地を買い、自分で建てる。二つ目はすでに売られているものを買う。一つ目はかなり費用が掛かるが最初から自分好みに出来る。二つ目は少し費用は抑えられるものの、部屋はすでに決まっている。まあリフォームすればいいだけの話なのだが。俺はこの二つ目をしようとしている。
「だが、まだ当分先だな。よし、畑作るか。」
「疲れたわ。現実じゃこれ以上か、農家なめてたわ。」
俺は一応畑を栽培が出来るようにまで一応耕した。実際どういう風に耕したらいいのか分からんが整地はした。
俺が植えるのは薬草や毒草などの植物である。これらをいちいちフィールドに取りに行くのは面倒だ。というわけで育てることにしたわけである。
「さて、栽培のスキル取るか。」
スキル一覧から俺は栽培スキルを習得する。俺のスキルは今こんな感じだ。
SP 1pt
メインスキル
「調教Lv2」「調合Lv12」「工芸Lv4」「鳥の目Lv7」「速度上昇Lv8」「身軽Lv6」「魔力Lv3」「見切りLv8」「感知Lv6」「栽培Lv1」
控えスキル
「剣Lv13」
ゴブリンとの戦いは経験値的にうまかった。あまりやりたくはないけどな。
「肥料は骨粉とかまいたし今はいいか。レベル一で使えるスキルアーツは種子変換だけか。」
栽培は栽培する植物の質を上げたり成長速度の上昇や増える量を増加させたりしてくれるアクティブスキルだ。が速度上昇と同じようにスキルアーツを手に入れることがある。今は一つしかないがそのうち増えていくだろう。
「あとは水やって放置しとくか。」
とりあえず一旦ログアウトした。