Road6 従魔と戦闘
「名前どうするか。何が良いと思う? ってこいつに聞いてもなぁ。」
俺がテイムしたフェアリーバタフライは相変わらず俺の周囲を飛び続けている。時折花にとまるのだがすぐに離れる。やはり行動は完全に蝶の様だ。
(フェアリーバタフライ……………フューリでいいか。)
フェアリーを少しもじった感じでこいつの名前をフューリにすることにした。
「じゃ、お前はフューリだ。これからよろしく。」
するとフューリは突然輝きだした。少し眩しかったので腕で目を隠していたが、光が収まったころにはフューリの姿はなかった。」
「あれ、どこ行った。っと、なんだこれ?」
少し周囲を見回そうとしたが手に何かがあったので開いてみると、半透明のピンク色をしたビー玉ぐらいの球体があった。
妖精蝶の召喚石 … 妖精蝶を呼び出すことが出来る石。
「これを使えば呼び出せるのか? まあやってみよう。出てこいフューリ。」
呼びかけると石が光り、無くなった。そして目の前にフューリが現れた。しばらく見ているとフューリは俺の肩にとまった。
「石自体がフューリみたいだな。まあ常時召喚状態じゃなくてよかったな。」
常時召喚していると何か面倒事が起きそうな気がしたのでよかった。
何回か繰り返してみると召喚したとき俺のMPの最大値が少し減っていることに気が付いた。どうやら召喚にはMPの最大値を少し消費するらしい。戻せばまた元通りだ。
「召喚するモンスターによって消費量変わる可能性があるな。まぁしばらくやらんけどな。」
その後は北側をある程度探索し、その日はログアウトした。
次の日、ログインするとスタート地点は町の泉のある広場だった。剣を持った女神像があるので北側だと分かる。
「ログアウトした地点から一番近い広場からスタートか?」
後で調べてみたがフィールドでは最後にいた街の復活地点、セーフティエリアではそのエリアから。また個人用の転移・出発地点アイテム、ポータルレイクがあれば設置した場所からスタート可能らしい。
今日は戦闘を中心にしていきたいと思っている。生産の素材はその合間に集めれば問題はない。というわけでさっそく行動開始。リンたちといったことがある南側へ行く。
町の近くでは時折他のプレイヤーが戦闘をしていたが気にせず進む。スライムやワイルドラットの動きはすでに見切っているので簡単に倒せる。多少ダメージは喰らってもポーションで回復出来る。使うのは主に性能の低いものだ。他はもったいない。
進み続けるとやがて森が見えてきた。
「結構周りが見にくい、気を付けないとな。」
と言いつつも採取開始。森の方が採取ポイントが多いのでそちらに集中してしまう。今日戦闘中心にしてたつもりなのにな…。
いつもの薬草、ハーブなどに加えて骨や毒草、その他キノコ類が手に入った。スライムからは固有ドロップの核が出た、が特にどう使うのかが分からないので放置。
「げ、ゴブリンじゃん。逃げよ。」
俺は少し離れたところからゴブリンを二匹見つけた。ゴブリンは大抵複数で行動する。一回二匹出会ったので戦ってみたが強かった。一発喰らうと体力が三割削られた。これは勝てないと思って速さ任せに走って逃げました。あれは序盤でソロはムズイ。上手い人は倒せれるんだろうが自分はあいにくそんなテクニックはない。やっぱ命は大事にだな。
とその場から離れようとしたが
「ギギャギャ?」
振り返ったら後ろに一匹いた。
「冗談きついぞ!! なんであいつらもこっち来るんだよ、この野郎!!」
現在ゴブリン三匹と戦闘中。なぜ三匹か? この一匹がさっき見た奴ら読んできたからだよ!! 始めは後ろの一匹と戦っていたんだが、体力が半分を切ったところで雄たけび始めた。このままだと倒せるのでそのまま戦おうとしたら、後ろから二匹突撃してきた。それは余裕で躱せたんだがその後囲まれてしまった。
「やるしか無いのか。くそ。」
悪態をつきながらもゴブリンと戦う。AIはそこまで良くない様で囲んでいても一気に来ようとはせず、一匹ずつこん棒で殴り掛かってくる。ありがたいが動きを見切っても多少攻撃を受けてしまうのでじわじわ体力を削られていく。
(一気に行くしかないな!)
このままでは全員を倒せないのでスキルアーツでゴリ押すことにする。
「ピアース! スラッシュ! ッとよ!」
ピアースはスラッシュとほぼ効果は同じ。ただ突き技というのが違う。放った後俺は少し後退する。それを他のゴブリンが追撃しようとする。が少し遅い。
「クイック、ピアース! ッ」
クイックは速度上昇レベル五で習得するスキルアーツだ。効果は行動速度一.二倍。速度上昇は普通自身のステータスを上げるスキルで、常に効果があるアクティブスキルなのだが、時折自ら発動できるあパッシブスキルを習得できる。
この一撃で一匹倒したのだがその際もう一匹の攻撃をかすってしまった。残り二匹はHP二割弱、こちらは三割強といったところだ。直撃すればアウトだ。が
「フューリ召喚。俺を回復しろ。」
俺はフューリを召喚して命令する。フューリが俺の周りを飛び回る。すると緑のエフェクトが光り、HPが五割弱まで回復する。
フューリを仲間にした際、俺のウィンドウに仲間のステータス表示というのが追加されていたのを見つけた。これを表示すると現在仲間にしている従魔や特定イベントの仲間のステータスを確認できるというものだった。そこでフューリのステータス、もといスキルを見てみるとこういうものだった。
妖精蝶 名前 フューリ
所持スキル
「回復Lv3」「幸運Lv1」「鱗粉Lv3」「風Lv1」「回避Lv5」「加護Lv3」「進化Lv1」
これを見た時自分の目を疑ってしまった。さすがはレアモンスターと半ば納得してしまったが。フューリは
回避能力が高い支援型のヒーラーだった。今まで召喚しなかったのは周りにプレイヤーの目があったからだ。けれど今は関係ない。ここまでゴブリンの体力を削って町に死に戻りしたくはない。死に戻りをするとステータスが一定時間下がり、かつスキルの一部が一定時間使用不可になってしまうのだ。
「さぁ、終わらせるぞ!」
体力的に余裕が出た俺は一気に畳みかける。一気にスキルアーツの連打で一匹を倒す。そこでゴブリンが前に出てきた。後ろに下がり余裕で躱そうとして後ろを見ると近くに木があり、あまり下がれそうになかった。しかし
「はぁ!!」
俺は木を蹴り。一回転するような形で飛び、ゴブリンの後ろに着地する。ゴブリンは不意を突かれ、俺を見失ったようでこん棒を振り下ろしたままキョロキョロしている。
「最後だ! トライスラッシュ!!」
剣レベル十の三連撃のスキルアーツを背後から当てるとゴブリンは光の粒子となって消え去った。
「戻ってきた…。疲れたわ、」
俺は町に戻ってきていた。あの戦闘の後ポーションで体力回復したらすぐさま全力ダッシュで町まで戻ってきた。もうあの後に戦闘なんかする気力はなかったし、何よりポーションが無かった。フューリの回復はあるのだがあまり頼りたくはないというか目立ちたくはなかった。
「………北側でゆっくりするか。」
フューリと出会ったところの近くに森があり、そこがセーフティエリアになっていたのでそこでゆっくりすることにした。のどかなところなのでゆっくりしようか…。
SP 1pt
メインスキル
「剣Lv12」「調教Lv3」「調合Lv8」「工芸Lv4」「鳥の目Lv7」「速度上昇Lv8」「身軽Lv3」「魔力Lv4」「見切りLv5」「感知Lv6」